プロ野球公式球の「飛ぶボール」とは。

2004/06/07 07:41 Written by コ○助

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野球ファンの間では話題になることもしばしばの「飛ぶボール」。でも、野球をあまり見ない人にとっては「飛ぶボール」とは一体何のことなのか分からない人も多いかもしれないなりね。きっと、「飛ぶボール」がどのようなものなのか理解できれば、なぜ巨人がポンポン本塁打を打っているのかも分かってくるはずなり。

公式球は日本野球機構が定めた基準に則って生産され、検査に合格したもの。日本では8社から公式球が提供されているというなり(メジャーは1社による独占)。検査の方法は「ピッチングマシンから放出される球を、約1.5メートル離れた鉄の壁に当て、壁に当たる前の速度と跳ね返った後の速度で反発係数を測定する。最高時速252キロまで6段階で計測し、その反発係数が規定内であれば合格」というもので、基準は「反発係数が0.41〜0.44の範囲」に収まっていること。ちょっと難しい話なので詳しい説明は端折るなりが、要は8社が生産している公式球は基準の範囲内で反発係数が異なるものが存在しているということなりね。そして、その中で「飛ぶボール」と「飛ばないボール」が生まれている、ということなり。

最も「飛ぶボール」と言われているのはミズノが生産しているもの。プロ野球の試合に使われる公式球は各球団によって採用しているメーカーや種類が異なるなりが、このミズノの「飛ぶボール」を採用しているのは、パ・リーグの全球団と巨人・横浜・中日の計9球団。逆に言えば、阪神・広島・ヤクルト以外の球団はすべて「飛ぶボール」を採用しているなりね。

実際にどれくらい「飛ぶボール」の効果があるのかは、中日や横浜が「飛ぶボール」を採用した年から本塁打数が激増していることからも明らか。そして、近年のプロ野球は全体的に防御率が低下していることからも、「飛ぶボール」の影響が出ているといえるなりね。ちなみに、6月6日現在の各球団のチーム防御率を見ていくと。
【セ・リーグ】
巨人(4.41)、中日(4.54)、横浜(4.43)、広島(4.42)、阪神(4.42)、ヤクルト(5.80)
【パ・リーグ】
西武(3.97)、ダイエー(4.54)、日本ハム(5.13)、近鉄(4.35)、ロッテ(4.37)、オリックス(5.88)

3点台のチームは、辛うじて西武があるのみで、ほとんどの球団が4点台。5点台後半の球団もあるというのは、ちょっと異常事態ともいえるなり。また、セ・パ両リーグの投手の防御率ランキング、上位10人を見てみると。
【セ・リーグ】
藪(2.65)、上原(3.00)、福原(3.03)、川上(3.30)、三浦(3.58)、山本昌(3.64)、マレン(3.88)、川島(4.12)、井川(4.22)、吉見(4.27)
【パ・リーグ】
岩隈(2.11)、清水直(2.93)、バーン(3.28)、川尻(3.39)、張誌家(3.63)、小林宏(3.65)、グーリン(4.16)、松坂(4.16)、金村(4.22)、新垣(4.44)

正直、2点台の投手がセ・パ両リーグで3人しかいないというのは、かなり寂しい状況。ベスト10に4点台の投手がゴロゴロいるというのも、数年前に比べたら有り得ない状況なりよね。

さて、冒頭の巨人の本塁打数が多いという話。巨人の選手を見れば分かるように、「飛ぶボール」なんて使わなくても本塁打が打てる選手たちなのは明白。それらの選手が、狭い東京ドーム、気圧の関係でボールが飛ぶ東京ドーム、「飛ぶボール」を使う東京ドームという3つの武器を手にしているので、他球団に比べてポンポンと本塁打が飛び出すのは、ある意味当然と言えるわけなり。

以前Numberに掲載されていた「飛ぶボールが野球を壊す。」というコラムがあるなり。このコラムによると、1981年にもパ・リーグで使用されていたミズノ製の「飛ぶボール」が問題となり、コミッショナーから使用禁止が通達されたことがあったのだとか。正直、今の何でもかんでも本塁打になってしまう野球は全く面白くないし、「飛ぶボール」の使用禁止措置を再び出して欲しいと個人的には思うなりよ。なぜ泳いだバッティングでも本塁打になるのか。なぜ球場によって本塁打が出る比率が全く違うのか。疑問に感じている人も、きっと多いのではないかと。

皆さんは「飛ぶボール」について、どう思うなりか?

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