喫煙場面を含む映画のR指定、ハリウッド側が拒絶。

2004/05/13 03:49 Written by コジマ

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少年が喫煙を始めるきっかけは「かっちょいいから」とか「ワルっぽいから(少年期はワル=かっちょいいの図式が成り立ってる)」なんてのが大半で、「味がどうの」とか「鼻に抜ける香りがたまらない」なんてのは皆無なのではないだろうか。喫煙がかっちょいいというイメージ作り上げるのに一役買ってるのが、映画の喫煙シーンなのは否めない事実である。ムービースターがかっちょよくタバコをふかしてる姿は、やっぱり絵になる。スティーブ・マックイーンの喫煙シーンなんて、卒倒モノです。日本人でも北野たけしなんかが渋くタバコを吸ってたりすると、「おお、カッケー。あんなオッサンになりてー」なんて思ったりしちゃうのだ。そんな喫煙シーンを含む映画を「R指定」にするよう米上院商業委員会が要請し、米映画協会(MPAA)が拒否したそうなのだ。

MPAAは「(喫煙シーンは)映画をリアルに描く際に不可欠」「表現の自由を侵害する」「上映する際に警告するなどの対処法もある」(すべてジャック・バレンティMPAA会長)としている。そんな…。「この映画は喫煙シーンが含まれています」なんて貼り紙見たら、映画を見る前にゲンナリしちゃうのだ。

対する商業委の主張はもっとゲンナリする。「暴力や性的描写は規制されているのに、喫煙シーンがされないのはおかしい」。おいおい。そんなこと言ったらバレンティ会長が「アルコールの乱用や、無茶な運転、動物虐待などのシーンについても規制が同様に求められる可能性がある」と指摘している通り、いろんなモノに対して規制がかけられてしまうのだ。「○○ちゃんが主役なのに、どうしてウチの娘は草の役なの!」とか「○○くんがレギュラーなのに、どうしてウチの息子は控えなの!」と先生や監督に抗議するお母さんと変わらないではないではないか(ちょっと飛躍しすぎたのだ(笑))。

それでも、映画の喫煙シーンが未成年者の喫煙にもたらす影響は少なくなく(喫煙シーンを多く見ている未成年者がタバコを吸い始める割合は、余り見ていない若者と比べて3倍近く多いとする研究結果もあるそうです)、今後MPAAも無策に要求を拒絶するだけでは、世論に圧されそうなのだ。

だけど、子供が映画の喫煙シーンを見て憧れるのも、思春期の大事な過程のひとつだと思う。そういう思い出がつくれない子供のほうが、かえってかわいそうだとは思いませんか? 少年時代にタバコを吸うムービースターや父に“大人”を感じ、憧れて成長してきたぼくは、どうしてもこの件には反対したくなってしまうのだ。

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