協和発酵が「こく味」の成分を発見。

2004/03/09 12:55 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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よく「この酒にはコクがある」とか「カレーにバターを入れるとコクがでる」とか言いますけど、この「コク」って一体何なのさ?

辞書で調べると:

「由来は漢語の「酷」からとも、形容詞「濃い」の連用形からともいう。濃い深みのあるうま味。主として飲み物についていう」

何だそうですが。他の味覚、例えば甘味・塩味・酸味・苦味などに比べると、この「こく味」ってちょっと漠然としてますよねー?どっちかというと第5の味覚といわれている「うま味」の感じ方に近いような…。

さてこの曖昧な「こく味」を10年近く真面目に研究している企業がありました。協和発酵です。なんでもこの会社は「長時間の調理や、熟成によって生まれてくる「厚みがあり、持続性のある味とフレーバー」を“こく味”と定義」し、それがどういった過程で生まれていくのかリサーチしているのだそうです。そして、世界中のコクが多いとされる食品を調べて、今回オランダのチーズから「コク」の元とされる物質を発見したのだそうです。

もし、この「コク」物質を取り出せるようになったら、それを色々な食品に加えることで手軽に「熟成した味」や「深みのある味」が楽しめるかもしれませんね。

ちなみに先ほども出てきた「うま味」、いわゆるグルタミン酸ですが、これも日本人が発見したのは結構有名な話。

旧東京帝大に教授としてお勤めだった、池田菊苗博士。ある日、奥さまが作った湯豆腐の美味しさに感動し、この「旨さ」の正体を探り始めます。ダシに使われたコンブに着目し、これから「うま味」を取り出すことに成功しました。さらに1908年にはグルタミン酸がその正体であることも発見。

その後日本では「うま味」は長年味覚のひとつとして認識されていましたが、残念ながら欧米では認知度が低いままでした。しかし1980年代にそれまでの研究で従来の4基本味覚説ではすべての味を認識することが出来ないとわかり、それからは英語でも「UMAMI」という単語が使われるようになったそうです。

日本人の敏感な舌が発見した「うま味」そして今回の「こく味」。今後はどんな展開が食品の世界になされるのか。楽しみですね。

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