前川勝彦投手のトレードで阪神から近鉄に移籍した川尻投手。その能力は誰もが認めながらも、近年はポスティングによるメジャー移籍を強引に要求して契約更改で揉めたり、首脳陣と対立したりと、本来の能力を発揮するべきところと全く違う次元で評価がくだされることが多かったなりよね。

昨年末、トラブルメーカーのイメージがついてしまった川尻投手の放出を決めた阪神なりが、前川投手とのトレードは、阪神と近鉄の両球団、そして川尻投手にとっても良いものだったはず。阪神としては当初金銭での放出を検討していたのに、近鉄の元エースを獲得できた。近鉄は再生可能な（はずの）阪神の元エースを獲得できた。川尻投手は先発陣の手薄な新天地で復活することができる環境が整った。まだシーズン始まってみないとこのトレードが成功だったかどうかは分からないなりが、現段階においても、トレードする前よりは三者にとって状況は好転しているのではないかと。　

川尻投手は、最近はずいぶん数が減ってしまった感もあるサイドスロー右腕。日米野球での好投やノーヒットノーランを達成するなど、非常に輝いていた時期もあった選手なり。球種はスライダー、シンカー、カーブなど。過去の通算成績は下記のとおり。

1995年 8勝11敗　防御率3.10
1996年 13勝9敗　防御率3.26
1997年 5勝14敗　防御率3.92
1998年 10勝5敗　防御率2.84
1999年 3勝5敗　防御率4.52
2000年 10勝7敗　防御率3.17
2001年 1勝6敗　防御率6.38
2002年 5勝4敗　防御率3.02
2003年 1勝1敗　防御率9.00
通算成績：205試合　56勝62敗3S　防御率3.53

今年の近鉄のキャンプは頭から1軍に参加、20日に紅白戦に初先発した川尻投手は3回を投げて1安打無失点の好投。その1安打もポテンヒットと、安打性の当たりはゼロという、ほぼ完璧な投球内容だったなり。この好投に梨田監督は「先発入り？　そう考えてもらっていい。配球の妙を楽しめた」と開幕ローテ入りを明言。復活に向けて着実に階段を上っているようなり。

近鉄の開幕ローテは、今のところ岩隈、パウエル、バーンが当確。なので、川尻投手は4番手くらいの位置を手にしそうな感じなりね。今季のパ・リーグを盛り上げるような、そんな好投をぜひとも見せて欲しいものなり。