Lost In Translation ちょっと切ない大人のプラトニックラブ。

2003/10/16 13:38 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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久々に、心に染み入る映画を観てしまいました。

ソフィア・コッポラ監督の Lost In Translation. 最近私が見た映画(『チャーリーズ・エンジェル』や『シカゴ』)とはまた180度違う作品でした。アクションも無ければ派手な衣装も無く、はたまた登場人物に特別なキャラクター設定がある訳でも無い・・・・。とある男性と女性の、それぞれの自分探しの旅と、二人に生まれるプラトニックな恋心をシンプルに淡々と映像が語っていく、そんな映画です。

舞台はネオンの瞬く『異国の街トーキョー』。そこに偶然居合わせた二人。奥さんとの会話が噛み合わず、落ち込み気味な中年の映画俳優(ビル・マーレイ)と、写真家の旦那に付いて来て外国に来たのは良いけれど、何をするでもなくホテルに閉じこもりがちの若妻(スカーレット・ヨハンソン)。お互いに『自分自身』を懸命に探し出そうとし、さらに結婚生活にも疑問を持つ二人は、言葉の通じない異国の喧騒の中で、すぐにお互いを見つけ合い、理解し合い、惹かれ合います。

と、まあここまで書くと即効で「不倫」って言葉が浮かん来ますが、この映画の二人はあくまでプラトニックな関係を保ちます。しかも愛の言葉をささやくでもまるで無し。でも、二人の心のゆれ具合とかがセリフ無しでもひしひしと伝わってくる所は、役者の演技力と映像の素晴らしさだと思いましたねぇ。

大人の恋愛物と言うと、気合を入れて観ないと苦しいコンセプトではありますが、この映画が全体的に中弛みしたり重くなったりしなかったのは『東京』と言うロケーションがカギでしたね。外国人から観たエキサイティングで、ちょっと笑える日本の文化がここそこに散りばめられていて、切ないラブストーリーに何気にジョークを加えていて楽しめました。

日本人の目から見ると、ちょっと日本を茶化しすぎって感もありましたが、一緒に観に行ったダンナに言わせると、日本をノスタルジックに描いていて良かったと。

ところで、主役のスカーレット・ヨハンセンちゃんですが。彼女、妙に日本の風景にハマっている女優さんだと思いました。さらに、ビル・マーレイの名演技に引けをとらない存在感。かなりファンになりましたね。

日本での公開はされているのか、またされるのかは分りませんが、チャンスがあれば皆さんも是非。ラストシーン泣けますよぉ。


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