愛しのたくましマッスルカー その4。

2003/06/25 03:59 Written by コジマ

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前回の「高速ド☆真ん中ストップ事件」から1週間、千葉県我孫子のクルマ屋さんg-styleまでマスタングを引き取りにいった。前回の補足をすると、g-styleに到着した瞬間、マスタングのブレーキは(常に利いている状態から)元に戻っていたのである。まったく謎なのだ。その後、ブレーキの左右の利きを調整し、ブレーキオイルをすべて交換してくれて、50キロほどテスト走行しても問題がなかったそうだ。

g-styleへは借りた軽自動車で向かったのだが、う〜ん、軽って面白い! キュイーンという原チャリのような音を立てて走る。そう、屋根があって人が4人乗れる原チャリなのだ。小回りは利くし燃費はいいし、快適である。おまけに税金も安い。「ああ、いいなあ、げへへ、これならどこでも行けるぜ。買物、銭湯、レンタルビデオ、不在郵便の受け取りなんでもござれ。いぇーい! 軽自動車の『軽』は気軽の『軽』だぜ! 軽サイコー!」と叫んでいたのだが、勘違いしてはいけない。これはぼくのクルマではないのだ。特に税金の安さは関係ない。ぼくのクルマは図体がデカくて燃費が悪く税金がバカ高いマッスルカーなのである。

g-styleの後藤さん曰く「(ブレーキ故障の)原因はまったくわからない」そう。何度も言うけど、後藤さんはぼくの1コ上のナイスガイである(元ヤンだけど)。そのうえ28歳の若さで外車や海外製のホイールを扱う会社の社長である(元ヤンだけど)。とても爽やかで優しい人なのだ(元ヤン…しつこくてすいません後藤さん(笑))が、妻子持ちなので恋人は募集していない。後藤さんの会社は販売がメインなので本当はディープな修理まではできないのだが、「自分も勉強になるから」と、いろいろ調べながら「できるだけ安く直す」をモットーにやってくれるのだ。今回はブレーキの左右の利きとブレーキオイルの交換をタダでやってくれた。

しばらく立ち話をして、後藤さんと乗ってきた軽自動車の(英語風に)「ミスタースズキ」(スズキのクルマなので。あ、人のクルマに勝手に名前を付けてしまった)に別れを告げてg-styleをあとにした。20分ほど運転して国道6号線に出たのだが、あら、またもやブレーキの調子がおかしい。それでもしばらく進んでいたのだが、ついに前回と同じ「ブレーキが常に利いている状態」になってしまった。ハザードがないため、ウィンカーを左に出して路肩に乗り上げ緊急停止する。ボンネットを開けると、「ブシュブシュ」と前回大量に溢れていたクーラントが少し噴き出していた。「何でだー! 1、2、3、何でだー!!」と叫んでから、後藤さんにSOS電話をかける。「とりあえず、前回と同じように時間が経ったら動くようになるかもしれない。そしたらウチに持ってきてください」。動くようになるまでしばらく待つことにした。

早く冷えるようにボンネットを跳ね上げた状態にしていたので、目立つ目立つ。通り往くクルマに乗っている人が見まくってくる。指差して笑う者、忌まわしいものでも見るように目をそむける者…。子供なんか露骨に言ってくる。
「あ、ママぁ、クルマがとまってるよ。ぶっ壊れちゃったんだね。あははは」
「こらっ、タカシちゃん、見ちゃダメよ!」
てめえ、タカシってんだな、その顔おぼえたぞ、などと逆恨みしながら恥を忍んで待った甲斐あって、20分後にエンジンをかけると動くようになった。一目散にg-styleに向かう。

後藤さんは、「申し訳ない」と「なんでだろう」というのが混ざった複雑な表情でぼくを迎えた。辺りにブレーキパッドが焼けた匂いが立ち込める。もう暗かったので、のび〜る蛍光灯を使っていろいろ調べた結果、どうやらブレーキオイルの量を調節するマスターシリンダーがどうもおかしいということになった。マスターシリンダーのブレーキの利きを調節するナットを緩めると、いとも簡単にブレーキは解除された。「このままでも帰れますが、今度はブレーキが利かないってことになるかもしれない。徹底的に調べるので、もう一度預からせてください」。後藤さんの友達の勧めもあり、もう一度修理してもらうことにしたのだ。

「では、今回も申し訳ないんですけどアレに乗っていってくださいね」と言う後藤さんの指差すほうを見ると、ミスタースズキが「ダンナ、やっぱりオレの所に戻ってきたね」と囁いていた。

つづく

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