日本、IWCの分担金支払いを留保。

2003/06/20 03:54 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


ベルリンで開かれている第55回国際捕鯨委員会(IWC)年次総会で日本代表団は、IWCが鯨類保護への傾斜を強めていることに抗議の意味を込め、来季の分担金支払いについて「態度を留保する」と表明した。

IWCとは、鯨を保護する会ではなく、今後の捕鯨について検討する会。この会では捕鯨国(日本やノルウェーなど)VS反捕鯨国(米国や英国、ドイツなど)の図式が成り立っており、多数派工作が功を奏し反捕鯨国の発言力が強まっているのだ。

反捕鯨国の主張は、絶滅の危機に瀕している鯨の保護。自分たちの主張を通すために、マイノリティーの行動を神経質なまでに制限しようとしている。今回の総会では、反捕鯨国側の議題として「南太平洋と南大西洋に新たな鯨の禁漁区を設ける」、「ブリ漁の定置網などに(偶然)鯨がかかる『混獲』も捕鯨とみなし制裁措置をすべき」(いずれも採択されず)、「日本が南極海で実施している調査捕鯨の禁止」「鯨類保護の強化を目的とする『保存委員会』の設置」(いずれも採択)などが畳みかけるように提出された。逆に、捕鯨国側の提案はことごとく否決されている。ここまで来たらイジメなのだ。

さて、世界の鯨の状況を整理すると、絶滅に瀕しているのはシロナガス鯨(1万4000頭)やザトウ鯨(1万5000頭)であり、主に捕鯨国が漁の対象としているミンク鯨やマッコウ鯨は、いまや世界全体で100万頭を超え、増えすぎたミンク鯨のせいでその他の鯨の量が増えない(さらには他の魚への影響で生態系が崩れる恐れがある)という現象が起こっているという。IWCの捕鯨禁止対象はすべての種類なわけで、現況との矛盾を感ぜずにいられないのだ。しかも、シロナガス鯨よりも個体数が少ないと言われている北極鯨をイヌイットが捕獲していることに対して、「伝統文化」として米国の働きかけでIWCは認めているらしい。

ここで問題になっている分担金だけど、日本は加盟国中最大の分担金拠出国で、全体の8%に当たる約2000万円を負担している。分担金を支払わない場合は投票権が停止されるそうだが、こんな矛盾だらけの会など、とっとと脱退したほうがいいような気がするのはぼくだけかなあ。非加盟のカナダなどは悠々と捕鯨しているらしいし。禁止のための禁止、鯨を見ないIWCに存在意義はあるのだろうか。

ああ、鯨のステーキが食べたい。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.