一般的に紙袋といえば、店で買い物をすれば簡単に手に入るような代物。しかし欧米ではいま、1つ約2万円の値がつけられた“ブランド紙袋”が飛ぶように売れているという。

米紙ニューヨーク・デイリーニュースやニューヨーク・ポストなどによると、話題の紙袋は、有名ファッションブランドのジル・サンダーが販売した「Vasari Bag」。見た目は一見どこにでもありそうな無地で茶色の紙袋なのだが、素材にはコーティングが施されており、何度も使えるように加工された立派な“男性用バッグ”だ。ただし、正面の下に小さく「JIL SANDER」と書かれただけの紙袋が290ドル（約2万3,000円）もするとあって、ネットでは「ちっとも高級そうじゃない」と、価値を感じない人からの意見も少なくない。

それでも恐らく世界一高価な紙袋であろうこのバッグが、「最近売れている」（米紙ロサンゼルス・タイムズより）というから面白い。「Vasari Bag」は、黒い革製のバージョンも630ドル（約4万9,000円）で一緒に売り出されたが、ニューヨークにあるジル・サンダーのショップではすでに両方とも「売り切れた」そうだ。さらに英国で唯一このバッグを扱っているショップ「LN-CC」では、最初の在庫が「3週間で完売した」（英紙デイリー・テレグラフより）として、大きな話題となった。

もともと「Vasari Bag」は、今年2月に開かれたジル・サンダーの2012秋冬メンズコレクションで初登場。ランウェイに登場した男性モデルが右手に持って現れ、ファッション関係のメディアを中心に紹介されたという。このイベントは2005年から同ブランドのデザイナーを務めていたラフ・シモンズ氏にとって「ラストコレクションだった」として特に話題になり、そのおかげもあって「Vasari Bag」にも大きな注目が集まったのではないかと見られている。

男性用として売られた“紙袋”だが、実際のところは女性たちによる支持が大きいそう。買いに来た人たちの中で、値段を見ても驚く人は「いなかった」そうで、それだけ“2万円の紙袋”に魅力を感じた人が多いようだ。ちなみに日本語も対応している「LN-CC」のオンラインサイトでは、9月4日14時の時点でも買い物かごに入れられる状態なので、気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか。