「13才の父」は父親ではなかった、DNA鑑定の結果判明で再び報道合戦。

2009/05/20 05:38 Written by Narinari.com編集部

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今年2月、英紙サンの報道をきっかけに英国内で大論争を巻き起こし、世界中に衝撃を与えた「13才の父」騒動。当時、メディアは父親と名乗り出た13才のアルフィー・パットン君の家庭環境や、15才で母親となったシャンテル・ステッドマンさんの交友関係なども明らかにするなど報道合戦を展開したほか、ゴードン・ブラウン英首相をはじめとする多くの政治家までこの話題に言及し、「性交渉の低年齢化」は大きな社会問題と受け止められた。

あの騒動から3か月。このほど、アルフィー君が本当に父親なのかどうか、3月に行われたDNA鑑定の結果が明かされ、再び話題を呼んでいる。

2月にサン紙がアルフィー君を「13才の父」と報じた後、少なくとも5人の少年が「シャンテルさんと寝た」と名乗り出て、父親が別人である可能性が囁かれていた。シャンテルさんの母親は「シャンテルはアルフィーによって処女を失った」とメディアに語り、自分の子どもと信じていたアルフィー君も少年たちの発言に反発。自分が父親であることを証明するために、DNA鑑定を受け入れていた。

ただ、過熱する報道合戦にクギを刺した裁判所の命令により、この話題は一時沈静化することになる。DNA鑑定の前に、双方の家族による申し立てを受けた英高等裁判所が「報道の権利よりも、当事者の人権が優先される」として、アルフィー君、シャンテルさん、子どものメイジーちゃんに関する新たな報道の禁止を命令。また、報道当初からアルフィー君らを支持していた地元州議会が、DNA鑑定の結果公表も禁止する案を提出していたことから、3月に行われたDNA鑑定の結果も伝わっていなかった。

ところが、3月26日にデイリー・ミラー紙が裁判所の命令を無視して鑑定結果を“抜け駆け報道”。電子版の記事はすぐに削除されたが、同紙を引用する形で世界中で報じられてしまった。今回、英国で相次ぎDNA鑑定の結果が報道されているのは、地元州議会の案が否決されたため。いわば仕切り直しの形だ。

本当の父親と判明したのは、シャンテルさんと同級生のタイラー・バーカー君。サン紙によれば、タイラー君はシャンテルさんが性交渉時にピルを飲んでいると思って関係を持ったという。そして鑑定前には、「僕が父親でないことを願いたい」「彼女と関係を持ったのは、人生の中で一番の間違いだった」「正直、彼女を気に入ってなかった」と語ったとしている。

一方でアルフィー君は、自分が父親ではなかったとの結果を受けて苦悩。また、シャンテルさんは「この先ずっと侮辱される」と恐れ、毎日泣いているという。一連の騒動後、「一家はそろって夜逃げ同然に引っ越した」(デイリー・メール紙より)そうで、軽はずみな行動が生活を一変させてしまった。ただ、アルフィ君とは、電話で連絡を取り合っているそうだ。

各方面で議論を呼んだこの話題に、英メディアは揃って「西欧の中で10代妊娠率が一番高い英国で、性教育の議論を高めた」との論調の記事を掲載している。

また、英紙タイムズはこの報道をめぐり、サン紙と英紙サンデー・ピープルがアルフィー君の両親に金銭を渡したと報道。英報道苦情処理委員会が調査していることを明らかにしている。これは「明らかに子どもの利益にならない限り、親や保護者に、子どもや被保護者に関する情報素材の対価が支払われてはならない」との英報道倫理規定に抵触の疑いがあるとされたためだ。論争を呼んだ話題は、残念な話がつきまとう結果になったが、せめて生まれてきたメイジーちゃんが幸せに育つよう願いたい。

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