米紙ニューヨーク・デイリーニュースなどによると、この体験をしたのは、タイ中部のチョンブリー県に住む27歳の男性。仕事に充実感を見出せず、エンジニアの仕事を辞めたところだったという彼は、今年2月に1か月間の旅行へ出かけようと思い立った。そこで、友人と共にタイ東北部のジャングルにある、プー・ルアン野生生物保護区を訪問。そして2月28日、「恐竜の足跡」を見た帰りのジャングルの中で、彼に思わぬ危険が訪れたという。
その一部始終を映したのが、6月11日付でYouTubeに投稿された「Elephant attack Idiot (tourist) Phu Luang Wildlife Sanctuary in Thailand」(https://www.youtube.com/watch?v=1UdiDoXpmF4)。画面左に映る男性の視線の先には、木々の間から顔を出して彼と向き合っているゾウの姿がある。しばらくお互いに視線を外さず、にらみ合う状況が続いたが、やがてゾウが痺れを切らしたように動き出し、走って男性の方へと突進してきた。
実はこの時、「ゾウは襲い掛かって来てもけがさせるつもりはないだろう」と思い、刺激しないよう心掛けていたという男性。ゆっくり後ずさりしていって、ゾウから離れようと考えていたそうだが、その前にゾウが向かって来てしまった。
いざゾウに詰め寄られ、あまりの迫力で「怖かった」男性は、逃げるよりも咄嗟の反応で左手をゾウの前に出し、「止まれ」とアピール。すると、男性の目の前で突進をやめたゾウは、一鳴きして向きを変えると、そのままジャングルの中へと消えていったという。
当時の状況を振り返って、出会ったゾウは「私を傷つけるつもりはなかったのだと思う」と話す男性。しかし、突進してきたゾウが彼の意を汲んでくれたのか、寸前で踵を返すなど信じられないといった論調で欧米メディアで紹介され、彼の映像が話題になっている。そして現在、旅行での体験を「怖い出来事ではなく良い思い出」と前向きにとらえているという男性は、新たな仕事も積極的に探す毎日を送っているそうだ。