◎1年間の加糖飲料制限による効果を検証
加糖飲料を日常的に飲んでいる肥満または過体重の若者224人(男性124人、平均15歳)が対象の研究結果を報告したのは、米ボストン小児病院のCara B. Ebbeling氏ら。
Ebbeling氏らは、加糖飲料の代わりに水やダイエット飲料、無糖飲料などを1年間飲ませる介入群と、何もしない対照群に分けた。加糖飲料の摂取状況は両群とも1日1.7杯だったが、介入群では1年後にほぼゼロまで減少、その後の1年も低い状態が保たれていた。
2年後におけるBMI(肥満指数)の変化は両群に差はなかった。ただし、1年目のBMIと体重の変化には差が認められ、介入群で増加の程度が小さかった。人種別の解析では、ヒスパニック系で両群の差が大きいことも示されている。
以上の結果からEbbeling氏らは、加糖飲料を制限することで1年後のBMI増加が抑えられたが、制限を終了した1年後では差が認められなかったと結論付けている。
◎人工甘味料入り飲料でBMI・体重増が抑制
正常体重の4〜11歳の子供648人を対象に、同じパッケージの加糖飲料と人工甘味料入り飲料を分けて飲ませる研究結果を報告したのは、オランダVU大学アムステルダムのJanne C. de Ruyter氏ら。
de Ruyter氏らは、事前の質問により「加糖飲料を普段から摂取している」と答えた子供を選定。18カ月にわたって1日1缶の加糖飲料もしくは人工甘味料入り飲料を学校で飲み、空き缶を自分の名前入りの箱に入れさせた。研究開始時、6、12、18カ月時点で身長、体重、皮下脂肪の厚さ、尿の検査が行われた。
その結果、加糖飲料のグループに比べて人工甘味料入り飲料のグループでBMIの増加が抑制されていた。体重は人工甘味料入り飲料のグループで6.35キロ増、加糖飲料のグループでは7.37キロ増と、同じく前者で増加抑制が認められた。
de Ruyter氏らは、正常体重児が加糖飲料から人工甘味料入り飲料へ切り替えることで、体重増加や脂肪の蓄積が抑制されたと結論。ただし、肥満児や他の人種、成人への有効性は不明としている。
米エール大学のSonia Caprio氏は付随論評で、これらの報告により小児肥満の増加を抑えるための加糖飲料の規制に弾みがつくのではないかとの見方を示した。その上で、医学会などが一丸となって加糖飲料の消費量を減らすための活動を推進する時が来たと結んでいる。
※この記事(http://kenko100.jp/news/2012/09/25/02)は、医学新聞社メディカルトリビューンの健康情報サイト「あなたの健康百科」編集部(http://kenko100.jp)が執筆したものです。同編集部の許諾を得て掲載しています。