英紙インディペンデントやデイリー・テレグラフなどによると、調査を行ったのはチューリヒ大学のウラデタ・アイダチッチ−グロス博士らのグループ。死に関わる研究を専門とする博士は今回、世界各地で亡くなった240万人のデータを収集し、死因と亡くなった日の関係を研究した。その結果、「予想以上に、誕生日は人生が終わりやすい」ことが判明。論文は6月4日付で米医療専門誌「Annals of Epidemiology」に発表された。
それによると、誕生日に亡くなった人の割合は、ほかの日に亡くなった人に比べて13.8%も増加。さらに60歳以上に限定すると18%増となり、年齢に比例して“誕生日に命を落とす人”の割合が高まっていくことが分かった。しかも亡くなった人の死因を調べると、自殺に限らず、病気が原因で命を終えた人も少なくないという。
具体的には、死因が心臓疾患の人で誕生日に亡くなったケースでは18.6%増。がんでも10.8%の増加となったほか、21.5%増となった脳卒中では特に女性が多く見られたという。一方男性の場合、特に数字が上がったのが自殺で34.9%増、「車に関係ない何らかの事故」で28.5%も急増。転落・転倒死のケースでは44%も上昇したことに加え、「誕生日の4日前から数字が上がっていく」とされている。
アイダチッチ−グロス博士らのグループは、誕生日に命を落とす可能性が高まる要因について、病気を抱えた人の場合は、誕生日まで生きるという目標に従い、生命力で誕生日まで「持ちこたえる」ケースが多いのではないかと推論。また、「効果的な発見」と研究を評価する英ハートフォードシャー大学のリチャード・ワイズマン教授は、病気ではない人でも誕生日を迎えて「よく生きた」と油断してしまい、危険を招きやすくなるのではないかと、1つの持論を提示している。
いずれにせよ、要因については論文でも現在は「推論を支える明確な根拠はない」としており、今後のさらなる研究が期待されるところ。しかし、ほかの日に比べて誕生日に命を落とす人が多いという傾向は数字の上に現れており、私たちもこれからの誕生日は浮かれるばかりでなく、不幸な現実に陥らないよう注意して過ごしたほうが良いのかもしれない。