このリリースを祝し、先ごろ、ドリス・デイのカリフォルニアにある自宅をポール・マッカートニーが訪れ、インタビューする形での対談が行われた。「レット・イット・ビー」収録の「ディグ・イット」という楽曲で「ドリス・デイ!」と叫んでいたのは、ビートルズ・ファンの皆さんはご存知のことだろうが、ポールは昔からドリス・デイのファンだそうだ。
インタビューの中でポールは、ファッション・デザイナーとして世界で活躍する娘のステラ・マッカートニーが「映画の中であなた(ドリス・デイ)が着ていたあの黄色いドレスを見て、デザイナーになりたいと思ったって言うんだ」との秘話を明かす一幕も。
今回、87歳でのニュー・アルバム発売となったが、実は本作は2004年に亡くなった息子のテリー・メルチャー(バーズのプロデューサー、サーフィン/ホットロッドの重要人物)が、生前に母親であるドリス・デイをプロデュースしていた音源が元になっている9曲の新録音と、名曲カヴァーで構成された作品でもある。インタビューの中ではこのようなやりとりが行われた。
ポール・マッカートニー「僕は60年代にテリーと少し付き合いがあったけど、本当にいい人だったよ。でも確かにそうだね、押し付けがましい人ではなかった。考えてみれば僕もそうではなかったけれども。すてきな少年だったね。僕たちは息子さんが大好きだし、息子さんが天国からこのアルバムを見て『ママ、あなたを誇りに思うよ』と言っているといいなと思う」
ドリス・デイ「そうだったら最高ね。もし今ここにあの子が居て、私を見て、そう言ってくれたなら。でもあの子の気持ちは分かるわ。心の中にいるのですもの」
さらに、本作はテリーとビーチ・ボーイズのメンバーだったブルース・ジョンストンとの共作による新曲「My Heart,」「The Way I Dreamed It」などのほか、 ジョー・コッカーのバラードとして有名な「You Are So Beautiful」や、ラヴィン・スプーンフルの1966年のヒット「Daydream」、ブルース・ジョンストンが書き、ビーチ・ボーイズで発表されたあの「Disney Girls」など、ビーチ・ボーイズファンも必聴の楽曲も収録する作品となっている。
トニー・ベネットのほかにも、レナード・コーエン(77歳)の新作「オールド・アイディア」が16か国でiTunes/Amazon/アルバムチャートのいずれかで1位を獲得するなど、高齢組の活躍が目立つ近年の音楽業界。これからも、若者に負けない素晴らしいパワーで音楽を届けて欲しいものだ。