中国紙揚子晩報などによると、この公衆トイレは江蘇省南京市の観光地「夫子廟」付近に設置されているもの。2009年2月に誕生したこの公衆トイレは、中国では破格の40万元(約500万円)で以前からあったトイレを改装したもので、大型液晶テレビやエアコン、マホガニー製のひじかけ椅子、高価な飾り物などなど、普通の公衆トイレにはない豪華な設備と内装が整っている。そのため、オープン当時は“南京初の4つ星公衆トイレ”などと謳われ、話題を呼んでいた。
しかし、もうすぐ3年という月日が過ぎようとしていた今年12月、この豪華公衆トイレが「すっからかんになっている」ことが判明。トイレの“代名詞”ともなっていた大型液晶テレビや椅子、飾り物などが姿を消しただけでなく、窓ガラスも外されていた。もちろん、これでは豪華でも何でもなく、便器と洗面所だけが置かれた単なる公衆トイレと変わらない。
この公衆トイレを管理している秦淮区環衛所の担当者は「液晶テレビや椅子、飾り物などは半月ほど前に片づけました」と話している。理由は24時間体制の警備ができず、多くの盗難被害に遭ってきたためだ。こうした事態に管理者も相応頭を悩ましてきたようで「仕方なく片づけるしかなかった」とため息交じり。今後適切な対処法が見つからない限り、この公衆トイレに豪華な設備が戻ることはないという。
ただ、この件に関して市民からは不満や批判の声が挙がり、「豪華な公衆トイレを作るなら、最初から警備体制を考慮しておくべき」「40万元という大金を費やして公衆トイレを作った以上、アフターケアにもそれ相応のお金をかけるべきでは」「夜間の警備がないなら盗まれて当たり前でしょう」などと手厳しい。地元民だけでなく、観光客からも高い評価を受けていた公衆トイレだけに、普通のトイレになってしまったことへのショックも大きいのかもしれない。