ペンシルバニア州に住む55歳の女性ドナ・マッコールさんは先日、ネットであるニュースを見かけた。それは「ガムの包装紙を12マイル(約19キロ)繋げて世界記録を作った」(英紙デイリー・テレグラフより)というもの。するとマッコールさんは、自分がまだ10歳だった頃に「ガムの包装紙で作ったチェーンを、好きな相手の身長と同じくらい作れば、その人をゲットできる」(米放送局FOXより)との“恋のおまじない”が流行っていたことを思い出した。
当時、マッコールさんが熱を上げていたのが、人気ホームコメディドラマに出演していた子役俳優のブッチ・パトリックさんだ。少女だったマッコールさんはファンレターも送り、その中で彼の身長を質問。その後届いたパトリックさんからの返事に「約134センチ」とあったことを受け、健気にその長さの包装紙チェーンを作った。
1970年代に入ると、大人になったパトリックさんは仕事が減り、目立った芸能活動もなくなってしまう。一方のマッコールさんは、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のフィラデルフィア・イーグルスでチアリーダーを務めるなど、華やかな道を歩み結婚。幸せな人生を送っていた。
それから長い月日が流れ、先日の世界記録のニュースを見たときに、少女時代の恋心を思い出したマッコールさん。現在55歳になったとはいえ、離婚して独身となっていた彼女に、恋の障害は何もなかった。ネットでパトリックさんの情報を探すと、彼のメールアドレスを発見。実に45年ぶりに、彼女はパトリックさんに連絡を取ってみることにした。
メールを受けたパトリックさんも、やり取りを重ねて彼女から送られる写真を見るうちに魅かれていき、「この女性に会わなければ」(デイリー・テレグラフ紙より)と思ったという。彼自身も「これまでに結婚の経験がない」(米紙トリビューン・デモクラット紙より)ため、独身で何の問題もなし。電話番号を交換して電話でのやり取りも始めるようになった後、今年5月にフィラデルフィアでのイベントで初めて顔を合わせた。
すっかり意気投合した2人は、ここから交際に発展。現在は、パトリックさんがロサンゼルスとフロリダに置いていた生活拠点を彼女の住むペンシルバニア州に移し、近いうちに一緒に暮らす予定だそうだ。
欧米の多くのメディアが注目する話題のカップルとなり、周囲からは結婚への期待も寄せられるそうだが、「まだ3〜4か月の付き合いなのに、そこに飛んじゃうのはちょっとおかしいよ」(デイリー・テレグラフ紙より)と、パトリックさんははぐらかしている。それでも、今は幸せを感じているという2人。それは、10歳の頃にマッコールさんが作った包装紙のチェーンがもたらした幸せなのかもしれない。