「お米を家庭で粉にして、パンを焼く」。その発想を商品化するには、硬度の高いお米をどのように粉砕するのかという、大きな壁が立ちはだかっていた。これまでお米を米粉状に粉砕するには大規模な機器と設備が必要で、家庭用サイズに落とし込むには困難を極めていたのだが、三洋電機は炊飯時のように、お米を粒の状態で水に漬けて柔らかくしてからミルをかけるという常識を覆した「米ペースト製法」を開発。さらにこれまでクリーナーや電動ハイブリッド自転車などのモーターを使う製品で培ってきた技術を採用し、お米の切削(ペースト)から生地コネ、発酵、焼成工程までを従来のホームベーカリーと大差ないサイズに収め、本体1台だけでお米からパンを作ることを可能にした。
使い方は従来のホームベーカリーとほぼ同様。洗ったお米と水、塩、砂糖、ショートニングをパンケースに入れ、最後にグルテンとドライイーストを本体上部の自動投入ケースにセットして、スタートボタンを押すだけ。これで約4時間後にはお米で作ったパンが1斤焼き上がる。
また、「GOPAN」はお米だけでなく、小麦粉で作る小麦食パン、パン生地、天然酵母食パンはもとより、玄米食パン、雑穀食パンなど、さまざまなパンを作ることも可能。専用のミックス粉などを使わずに、それぞれの材料をダイレクトに使ってパンを作れるコースが盛り込まれている。
そしてさらに、グルメパンが簡単に作れる「グルテン、ナッツ自動投入機構」や、旬の果物を使って作れる「ジャムコース」、うどんやパスタ生地を作れる「ヌードル生地コース」、もち米から簡単にもちが作れる「もちコース」なども。料理が好きな人なら、思わず飛びつきたくなるような機能が目白押しだ。
三洋電機は、国内消費量が減少の一途を辿るお米の潜在需要を掘り起こすべく、これまでも一粒一粒に均一に熱を加え、炊きムラのないごはんを炊く圧力IHジャー式炊飯器「おどり炊き」や、米粉を材料にした「米粉ベーカリー」を業界に先駆けて発売するなど、お米にこだわった製品を開発してきた。
今回は“ごはん”になるのが当たり前だったお米から手軽にパンを作れる「GOPAN」を世界で初めて投入することで、多様化する食生活に対応し、日本の米消費が拡大する自然な流れを作り、国が目指す食糧自給率50%に繋がることを目指していくという。