そんなフランス杯にナリナリドットコムのフランス特派員が潜入。会場の熱気を肌で感じてきたので、その雰囲気をお伝えする。
会場はパリ12区にあるフランス最大の屋内競技場「パレ・オムニスポール・ド・パリ・ベルシー」。場内は空席もあったものの、パリの人々に加え、日本や韓国、ロシアなどの“応援団”も大勢詰めかけていた。横断幕や国旗を手に各国のファンが応援を繰り広げられ、世界の強豪選手が集う大会ならではのインターナショナルな雰囲気に包まれている。そして、現在の女子フィギュアスケート界をリードするキム・ヨナ選手と浅田選手の人気は特に高く、もの凄い歓声や声援だ。
今回、勝利を飾ったキム・ヨナ選手はミスもなく、女王の風格を漂わせる堂々とした演技だったこともあり、韓国の応援団のみならず、他国のファンからも惜しみない拍手の渦。浅田選手も負けず劣らずの人気だが、キム・ヨナ選手への声援は浅田選手を数段上回っていた印象だ。
試合自体は「キム・ヨナ強し」の印象を強く残すものとなり、バンクーバー五輪まで残された時間が少ないことからも、日本のファンとしては焦りを感じるところ。でも、これまで“ミラクル真央”と呼ばれてきた浅田選手の底力と強運で、巻き返しに期待したい。
フィギュアスケートは、試合後にも楽しみが残されている。成績上位者によって行われる「GALA」(エキシビション)だ。もともとフランスはバレエをはじめ、踊り(ダンス)を愛する国民性ゆえに「GALA」の人気も高く、選手の普段とは異なる側面が見られる演技、そして「マスク・オブ・ゾロ」がテーマの観劇要素の入ったショーで観客を沸かせていた。
日本勢は浅田選手、織田選手、中野友加里選手が参加したが、浅田選手はやや元気がない様子。「GALA」終了後の顔見せの場でも、その姿を確認することができず、試合で負けたショックが尾を引いていたのかもしれない。織田選手は映画「オースティン・パワーズ」のテーマ曲に乗ってコミカルな演技を、中野選手はエキゾチックな演技を披露した。
ちなみに、「GALA」で特に喝采が大きかったのは男子のブライアン・ジュベール選手だ。ジュベール選手は、フランスのフィギュア界をリードする“地元の英雄”。ノリの良い楽曲と華麗な舞いで会場は大盛り上がりとなり、異例のアンコールを要請されるなど、パリっ子たちを楽しませていた。