被害者となったのは曹龍宝さん(65歳)。8月24日、上海の病院を訪れた曹さんが消化器系の検査を行ったところ、結腸に大小異なる3つのポリープが見つかったそうだ。結腸ポリープは大腸がんなどの危険因子。深刻な事態になる前に、さっそく27日にポリープの切除手術が行われることになった。
手術当日、曹さんは手術室に運ばれ、全身麻酔をかけられる。そして、約50分間ほど眠りについた。目が覚めたときには、看護師に「手術は終わりました」と告げられ、執刀医からも手術の成功を伝えられたという。
しかし、どうしたわけか、いつまで経っても手術後の痛みがあらわれない。曹さんはかつて手術を経験したことがあり、手術後の痛みを知っていた。また、結腸のポリープ切除は、腹部を切開する必要はないものの、内視鏡を使って肛門からポリープの切除を行わなければならない。にも関わらず、手術された感覚がなく、とても不思議に感じたそうだ。
納得がいかない曹さんは、医者に切除したポリープを見せてくれるように嘆願。しかし、その願いは「規律に反する」とあえなく却下される。諦め切れない曹さんは、再度医者に「3つのポリープは切除したのか」と確認したところ、医者は「切り取った」と返事するのみ。曹さんの娘が、病院に対して手術報告書の請求を行うものの、これまた却下され、真相は分からず仕舞いだった。
そんなとき、ある1人の医者が曹さんのもとを訪れる。その医者は「話したいことがある」と曹さんに言い、曹さんのポリープがまだ切除されていないことを、突然告げたそうだ。この医者がなぜ曹さんに真相を語ったのか理由は明かされていないが、もしかしたら医者としてウソをつくことに、我慢ができなかったのかもしれない。
“悪事”がばれた病院側は曹さんと家族に陳謝。すぐさま再度手術を行うことを曹さんに約束し、手術費用およびその後の検査費用などはすべて病院が補償することで和解したという。しかしながら、騙された曹さんの気持ちや失われた病院の信頼を元通りに回復するのは、そう簡単にはいかなそうだ。