中国東北部の瀋陽に住む76歳のおじいさん、スン・チェンさんが飼っているのは、ポンポンとワウワウと名付けられたかわいいテリア犬。スンさんは以前、自宅から約3キロ先の店まで、2匹の犬と、よく一緒に買い物に出かけていた。過去に脳卒中を患った経験を持つスンさんにとって、遠くまで歩くのは容易なことではなかったが、カートを押しながら頑張って買い物に出かけていたそうだ。
そんなある日のこと。スンさんが大変そうにしていることが分かったのか、突然ポンポンが後ろ脚で立ち上がり、空いた2つの前脚で「私の手伝いをしようと、カートを押し始めた」という。この行動を見たスンさんは、ポンポンとワウワウが押せるような、身長に合わせた専用のカートを用意した。
2匹がもともと賢かったのか、同じ道のりを何度も一緒に歩いていたことが良かったのか、驚くべきことに、いまではスンさんが付き添うことなく、ポンポンとワウワウだけで買い物に行ってしまうそうだ。歩幅が狭く、2足歩行には不慣れな犬が3キロの道のりを往復するとなると、かなり大変そうではあるが、「どっちか一方が疲れたら、そのままカートに飛び乗るんだ」(同紙より)と、ここでも賢い一面を見せる。
スンさんは買い物リストと財布を準備し、それをカートに下げたポーチに入れて、いつも2匹に買い物を任せているという。出向いた先の店員さんとも協力関係を築くことができているようで、「ポンポンとワウワウはとても良くやってくれている」(同紙より)と、スンさんはご満悦の様子だ。
「犬に任せて、もしお金を盗まれたら」「もしちゃんと帰って来なかったら」といった不安も頭をよぎるが、2匹の犬の賢さや優しさだけでなく、人間と犬の信頼関係も感じさせる、そんなちょっと温かい話と言えるかもしれない。