そんなチャスティティー・ボーノさんと同様、米国ではもう一人、性転換手術を受けた人物が話題を呼んでいます。レネー・ラムゼィさん。彼女(彼)は、“本当の自分”になるために、77歳になるまで手術のタイミングを待ち続けてきたそうです。
ラムゼィさんはもともとの名前をリチャードさんと言い、男性として生を受けました。ベトナム戦争では米陸軍の特殊部隊、いわゆるグリーン・ベレーのメンバーとして従軍したこともあるという、マッチョな経歴の持ち主です。
しかし、ラムゼィさんは思春期に入ったばかりの13歳の頃から、自分がほかの少年たちと違うことに気が付いていました。
「女性のようにドレスを着たかったのです。でもそんなことを口にしたら軍から追い出されることは分かりきっていたし、黙っているしかありませんでした」
と、語るラムゼィさん。20年間軍人として勤め上げ、2度の結婚も経験しています。しかし、次第にプライベートでは女性として着飾り、仕事の時だけ軍服に着替えるという生活になったそうです。そしてとうとう、ずっと夢見ていた女性になるために、このたび高齢というハンデを乗り越えて手術を受けることになりました。77歳での性転換手術は、米国では史上最高齢。
ラムゼィさんが長年手術を待ち続けた理由のひとつは、「奥さんのために男性で在り続けたかった」という気持ちが強かったから。自分の性的なアイデンティティーに苦しみつつも、奥さんのことを想って手術を留まったラムゼィさんは、ある意味立派な夫だったと言えるのかもしれません。