世界ヒゲ選手権は1990年にドイツで誕生し、1995年の第2回以降は2年おきに開催されている大会。「英国風」「ダリ風」「満州人風」「アラスカの捕鯨船員風」など、さまざまなカテゴリーが設置されており、各部門の優勝者から世界王者を選出するという。9回目となる今大会では、世界11か国から約300人のヒゲ自慢がアンカレッジに集結した。
地元出身で43歳のデビッド・トレーバーさんは、2年半かけて約50センチ伸ばした栗色のヒゲをネットのように編み込んで「あごヒゲフリースタイル」部門を制覇。さらに、並み居る強豪を抑えて世界王者にも選出され、賞品の金皿とサケ漁旅行を手にした。同部門はこれまでドイツ人の独壇場だったが、今大会で初めてその牙城を崩したことになる。その快挙を達成したトレーバーさんは、地元紙アンカレッジ・デイリーニュースに「やっと彼らを打ち負かすことができた」と喜びの声を寄せた。
同紙は「女性より男性が多く、大多数が未電化の生活をしているこの土地で、ヒゲを剃る理由がほとんどない」ため、アラスカ州ではヒゲを生やしている男性が多いと紹介しており、その“ヒゲ文化”がトレーバーさんの快挙につながったのではないかと分析している。また、米紙ロサンゼルス・タイムズによると、今大会で米国人が獲得したタイトルは12部門に及び、初開催以来、圧倒的な強さを誇ってきたドイツ人の部門制覇数(今回5部門)を初めて上回った。
世界王者に輝いたトレーバーさんだが、直後に自慢のあごヒゲを剃り落とすと宣言。その理由は、妻に「(世界王者になったら)あなたはこれ以上、上を目指せないわよ」と言われたからだそう。しかし、完全にヒゲ界から引退するのではなく、今度は口ヒゲを伸ばし始めるとのこと。別部門での挑戦を目指すというわけだ。早くも2011年にノルウェーで開かれる次回大会を見据え、新たな意欲を燃やしている。