先週の5月3日午後、浙江省寧波市の2人の女子大生が公衆バスに乗っていたところ、途中のバス停から一人のみすぼらしい格好をした少年が乗り込んできた。胸には「僕は騙されました。家に帰りたい」と紙切れを掲げている。車内で物乞いを始めた少年に、女子大生が事情を尋ねたところ「僕は台州臨海人の15歳です。幼いころに親に捨てられ、後に継父に引き取られたのですが、彼はよく僕のことを殴り、学校へも行かせてくれませんでした。生活が困難になると、花を売ったり(中国には花を売る子供の物乞いが多い)、盗みを犯したりするようになりました」という。少年は続けて「本当はそんなことはしたくないのです。僕は今、旅費が必要なだけ。悪人のもとから逃げたい」と2人に訴えたそうだ。
少年の話がいたく心に響いたのだろう。2人の女子大生は少年を「なんとか救ってあげたい」と思うようになり、少年を臨海まで連れて帰ってあげることにしたそうだ。
寧波市バスターミナルを出発して2時間が過ぎた夕方6時ごろ、3人は少年の故郷である臨海に到着。しかしながら、臨海に着いたものの、どういうわけか少年は自分の家の場所を話したがらない。彼女たちが困惑していると「お姉さん、1000元ちょうだいよ。帰っちゃだめだよ。これからは(物乞いの)仲間になろうよ」と突然言ってきたそうだ。この言葉を聞いた2人の女子大生は唖然。自分たちが騙されたことが、その時になってやっと理解できたらしく、学校の友達に携帯電話のショートメッセージを送り、助けを呼んでもらうことにしたという。
最終的に少年は駆けつけた警察官に連行され、2人の女子大生は事なきを得た。今回の事件の発端は「困っている人を救いたい」という慈悲の心。女子大生2人が人間不信に陥らないことを願うとともに、本当の貧困に苦しむ物乞いの人たちに悪影響が及ばないことを祈るばかりだ。