舞台となっているのは、東京23区の西のはずれ、杉並区と武蔵野市の境界線そばにある街・西荻窪。全国的に名の知れた吉祥寺の隣町でもある西荻窪は、近年、骨董品やグルメの街として注目される機会が増えてきた街だが、最近、この街に籔内氏の像が6体設置された。6体はいずれも籔内氏がテーマにしている「童子」をモチーフにしたものだ。
杉並区議会の市橋あや子議員のホームページによると、この像は西荻窪の商店街が建てたそう。その資金の出所を、市橋議員は「商店街振興の補助金でつくったのかな?」と、杉並区からの補助金(=税金)で設置されたものだと見ているようだ。その上で、「この六童子、どうしてくれよう」「ほんと、このような企画でまちの人たちは納得するのでしょうか」「私は薮内氏の作品、面白いと思っていますが、税金が投入されているとなると微妙です。それも6体も」と疑問を呈している。
そこで、実際に街に住む人たちはどう思っているのかを知るべく、西荻窪の住民に話を聞いてみた。
「絶対いらない。突然できてビックリした。『せんとくん』作者の像である意味もわからない」(30代男性/西荻窪在住30年)
「税金だったらイヤだねぇ……。大きさも中途半端だし」(50代女性/西荻窪在住59年)
これらはごくごく一部の意見であり、逆に歓迎している声もあるはずだが、今回話を聞いた2人や市橋議員のように、あまり賛同していない声があることも間違いないようだ。
今回の件は籔内氏には何も非はないものの、西荻窪と籔内氏に接点がない(仮にあるとしても、住民には伝わっていない)ことも、像設置の「意味」が見えない理由のひとつとなっている。籔内氏の6体の「童子」像は、本当に商店街振興の一助となるのだろうか。