昨オフに黒田博樹投手、新井貴浩内野手と投打の要を失った今季、開幕ダッシュに失敗して4月25日現在、5位にとどまっている広島。しかし、チーム打率、防御率ともにリーグ3位となっており、天谷宗一郎外野手の活躍など、暗い話題ばかりでもない。1997年以来となるAクラス入りも期待できるのだ。

こうした中で、2006年から広島の指揮を執っているマーティ・ブラウン監督が、4月26日の横浜戦で退場処分となった。前田智徳外野手の打席に対する判定を不服とし、球審に抗議した際に暴言を吐いたためで、退場を宣告されるとグラウンドの土を蹴り上げて本塁を埋めるおなじみのパフォーマンス(?)も披露している。今回は通算6度目の退場で、星野仙一・北京五輪日本代表監督を抜き、監督としてセ・リーグ最多記録となった。

米マイナーリーグの監督時代、3年間で22回の退場処分を受けた熱血漢のブラウン監督は、広島を率いてもその姿勢は変わっておらず、06年シーズンに3度、昨季は2度の退場処分を受けている。しかし、すべて選手を愛する心からヒートアップした結果のため、選手たちからは歓迎されている模様。退場の際に一塁ベースを引っこ抜いて投げた行為に対して、首脳陣や選手らが「危険!」「うちの監督はベースを投げるぞ」と英語でプリントしたTシャツを着用して観客から笑いを取るなど、もはや球団の名物になっているのだ。

4月26日の横浜戦では、ブラウン監督の退場後にチームが奮起したのか、試合は2-1で勝利した。これで、06年から続いているブラウン監督退場試合の連勝記録を6に伸ばしたのだ。こうしたことから、試合後にはネットでブラウン監督の毎試合退場を望む声がちらほら。退場翌日の勝率は0割のようだが、「でも五割じゃん。良し、としよう」という意見も上がっている。

その一方で、ブラウン監督の退場が勝利をもたらしているわけではなく、退場のたびに代行しているジェフ・リブジー・ベンチコーチの指揮が素晴らしいのではないかという指摘も。26日の試合でもリブジー・コーチの代打策が的中しており、「来年の新球場ではぜひリブジーに指揮を執ってもらいたい」といったコメントが散見されるのだ。そのリブジー・コーチは、今回の退場について「昔から彼は試合の流れが難しいところで退場してしまうんだ。でも私も彼の代わりを何度もやってきているから大丈夫」(日刊スポーツより)と語っている。

いずれにせよ、ブラウン監督の熱い心は選手たちを奮起させているのは確か。就任当初に掲げていた「3カ年計画」の2年目で目標としていたAクラス入りを、今年こそ果たせるかもしれない。ちなみにこの試合では、三塁を大回りした栗原健太内野手が高信二ベースコーチと接触し、規則の「肉体的援助」が適用されてアウトになるという、珍しい場面もあったのだ。
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