1月にチリ代表、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表と戦った国際親善試合(キリンチャレンジカップ2008)を1勝1分けで終え、まずまずのスタート切ったサッカー日本代表の「岡田ジャパン」。3-0と大勝したボスニア・ヘルツェゴビナ戦終了後、岡田武史監督は選手たちを称讃しながらも改善点をしっかりと捉えていたのだ。

その1週間後となる2月6日、2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会への出場権をかけたアジア3次予選がスタートした。最長で1年8カ月に及ぶ戦いの幕開けとなるこの試合、ホーム戦で勝ち点3が“絶対条件”となっているため、岡田監督も記者会見で就任以来初めてジョークを混ぜず真剣に決意を述べていた。

対戦相手のタイ代表は、国際サッカー連盟(FIFA)世界ランキング107位(日本代表は34位)。先の国際親善試合で戦った2カ国と比べて評価は低く、過去の対戦成績も12勝2敗4分けと日本代表が有利なものの、1カ月でランキングを14位も上げてきた勢いは警戒すべき要素だったのだ。

降雪の中で始まった試合は、GKが川口能活選手(磐田)、DFが中澤佑二選手(横浜M)、駒野友一選手(磐田)、内田篤人選手(鹿島)、阿部勇樹選手(浦和)、MFが遠藤保仁選手(G大阪)、中村憲剛選手(川崎)、鈴木啓太選手(浦和)、山瀬功治選手(横浜M)、FWが高原直泰選手(浦和)、大久保嘉人選手(神戸)の布陣でスタート。前半21分、大久保選手が倒されて得たFKを遠藤選手が直接決めて先制したものの、直後の22分に追いつかれてしまった。試合を支配し、CKや得点チャンスをたびたび得ていただけに、追加点が奪えなかったのが悔やまれるのだ。

そんなファンの気持ちが選手たちに通じたのか、日本代表が後半で爆発。8分に大久保選手が勝ち越しゴールを決めると、19分に中澤選手、終了間際の44分に途中出場の巻誠一郎選手(千葉)が次々に得点し、4-1の大量差でW杯アジア3次予選初戦を勝利で飾った。日本代表の18(前半8、後半10)に対しタイ代表は3(前半1、後半2)と、シュート数からみても圧倒的だったのだ。

岡田監督は試合後、「ある程度楽な展開になるかと思ったら、すぐに(相手に)決められた。やはり予選は簡単にはいかない」(サンケイスポーツより)と得点直後にカウンターで取られた1点に不満の様子だったけど、「2点目はラッキーだったが、選手たちが点を取りたいという意志、気持ちがあったから入った。結果的には勝てたことに満足している」(同)と選手たちに賛辞を贈っていた。一方、主力4選手を欠き、不慣れな雪の中で戦ったタイ代表のチャンビット監督は「雪でボールが滑って速くコントロールできなかった」(日刊スポーツより)とコメントしている。

今後、日本代表は2月17〜23日の東アジア選手権を経て、3月26日にバーレーン代表(FIFA世界ランキング100位)とW杯アジア3次予選第2戦(アウエー)を戦う。今回の試合はホーム、降雪と日本代表にとって有利な要素が多かったのも事実だけど、選手たちが粘り強さを発揮できた点は大きな収穫。この勢いで、東アジア選手権でもW杯アジア予選でも栄冠をつかんでほしいのだ。


◎W杯南アフリカ大会アジア3次予選第1戦結果
日本代表 4−1 タイ代表
【得点】
◇日本代表
前半21分 遠藤
後半9分 大久保
後半21分 中澤
後半46分 巻
◇タイ代表
前半22分 ティーラテープ

◎日本代表スケジュール
2月17日 東アジア選手権 北朝鮮戦(重慶)
2月20日 東アジア選手権 中国戦(重慶)
2月23日 東アジア選手権 韓国戦(重慶)
3月26日 W杯アジア3次予選 バーレーン戦(アウエー)
5月下旬 キリンチャレンジカップ(対戦相手国未定)
5月下旬 キリンチャレンジカップ(対戦相手国未定)
6月2日 W杯アジア3次予選 オマーン戦(ホーム)
6月7日 W杯アジア3次予選 オマーン戦(アウエー)
6月14日 W杯アジア3次予選 タイ戦(アウエー)
6月22日 W杯アジア3次予選 バーレーン戦(ホーム)
続きを読む