同委員会で焦点となっていたのは、違法サイトからのダウンロードを著作権法30条の「私的使用」から除外し、違法化すること。動画や音楽のアップロードはこれまでも多くの問題が発生し、10月には「YouTube」や「ニコニコ動画」が日本音楽著作権協会(JASRAC)と利用料の支払いに向けた話し合いが始まっているのだけど、今度は違法にアップロードされた動画や音楽を視聴した側も違法になるというのだ。
違法となるのは違法サイトと知ってダウンロードすることで、合法サイトでのダウンロードはもちろんOK。また、「YouTube」などでのストリーミングは厳密にいうとダウンロードだけど、こうした「一時的視聴」は同委員会では「複製行為には当たらない」として除外される方向で話が進んでいる。
違法な動画や音楽は取り締まるべきだけど、今回のダウンロード違法化は基準があいまいで、「違法サイトと知ってダウンロードするのをどうやって把握するか」「無意識に法を犯してしまう可能性がある」など、同委員会には約7500件もの反対意見が届いていたのだそう。また、刑事罰がないので逮捕されることはなく、実際に効果があるのかどうかも疑問視されているのだ。
同委員会はこれに対して、適法サイトを示すマークの普及など違法・合法の見分けを付ける提案をしているけれど、その判断基準も不明確。文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長は「パブリックコメントなどでの反対意見を踏まえた上でも、違法複製物からの複製は30条の適用除外とするのは不可避」(ITmediaより)とコメントしているが、ユーザーの声を全く反映していないことにネットからは怒りや落胆の声が上がっているのだ。
また、津田氏はITmediaのインタビューで、実効性の低さとともに法改正によって「後ろめたさ」を感じたユーザーの心につけ込む架空請求詐欺などが横行する可能性や、テキストや写真にも広がってネットの使い方が悪いほうに一変する可能性を指摘している。こうした意見を聞くと、もはや何のための法改正なのか分からなくなってくるのだ。
音楽制作ソフト「初音ミク」を使ったニコニコ動画発のオリジナル曲「みくみくにしてあげる♪」の一部管理が、ニワンゴからJASRACに委託されたことも話題になっているけど、こうした動きを見ているとネットの利用法が一変するのは遠くない気がするのだ。