10月25〜28日に行われたスケートアメリカを皮切りに、今季も始まったフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ。シーズンの幕開けであり、来年に開催される世界選手権や四大大陸選手権の結果を占う重要な大会なのだ。

出場選手たちが目指すのは、もちろん最終大会であるGPファイナルへの進出。今季は12月13日からイタリア・トリノで開かれるのだけど、ここに出場できるのは各大会で獲得したポイントが高い6選手(組)のみ。12月2日にシリーズ最終戦NHK杯が終了し、今季のGPファイナル進出選手が発表されたのだ。

開幕してから1カ月強であれよという間に全6戦が終了したのだけど、ここまでの大会を振り返ってみると、スケートアメリカで昨季世界選手権女王の安藤美姫選手(トヨタ自動車)が2位となり、高橋大輔選手(関大)が1位の好発進。スケートカナダでは浅田真央選手(中京大中京高)が新採点方式に苦しみながらも1位を獲得し、中野友加里選手(早大)が自己ベストで2位となった。中国杯では村主章枝選手(エイベックス)が振るわず4位、エリック・ボンパール杯では浅田選手がスケートカナダを上回る得点で優勝、ロシア杯では中野選手がまたもや自己ベストで2位となり、最終戦のNHK杯では安藤選手がフリーで3度転倒し4位、武田奈也選手(早大)がスケートカナダに続く自己ベストで3位、高橋選手が連覇を遂げたのだ。

シリーズは1位に15点、2位に13点、3位に11点が与えられるのだけど、これによって、女子では1位2回で30点の浅田選手、2位2回で26点の中野選手がファイナルへの出場を果たした。この2選手のほか、中国杯とロシア杯で2勝のキム・ヨナ選手(韓国)、スケートアメリカを制したキミー・マイズナー選手(米国)、NHK杯優勝のカロリーナ・コストナー選手(イタリア)、スケートアメリカ3位、中国杯2位の昨季世界ジュニア女王のキャロライン・ザン選手(米国)の進出が決定。安藤選手はNHK杯での4位が響いて22点の8位で、上位6人に入ることができなかった。

GPファイナルは演技の得点が高くても順位の得点が低ければ出場できないことがしばしば問題として挙げられているのだけど、安藤選手の今季最高得点はスケートアメリカでの161.89点で、ベスト10圏外。演技得点的にもファイナル進出に足りなかったのだ。

今季の演技得点では、フリーで史上最高得点の133.70を記録してロシア杯で歴代4位の197.20点(自己ベスト)を獲得したキム選手がトップで、2位の浅田選手(179.80、エリック・ボンパール杯)に20点近い差をつけている。3位はシリーズではないながらもネーベル・ホルン杯で173.53点を記録したコストナー選手、4位は中野選手の172.77点(ロシア杯)。5位はロシア杯で169.91を記録したジョアニー・ロシェット選手(カナダ)なのだけど、ロシア杯がハイレベルだったことからスケートカナダに続いて3位にとどまっており、順位得点が22点でファイナル進出はかなわなかった。6人目のザン選手が今季最高156.34点(中国杯2位)で進出していることを考えると、やはりこの制度には疑問符がつくのだ。

一方、男子は、高橋選手がジョニー・ウィアー選手(米国)とともに30点の1位でファイナル進出を決め、残り4人はパトリック・チャン選手(カナダ)、エバン・ライザチェク選手(米国)、ステファン・ランビエール選手(スイス)、ケビン・バン・デル・ペレン選手(ベルギー)となっている。高橋選手の最大のライバルであるブライアン・ジュベール選手(フランス)は、スケートカナダで優勝したものの、エリック・ボンパール杯を体調不良で欠場したためファイナル進出はならなかった。

GPファイナルでは、浅田選手とキム選手の今季初対決が注目されるけれど、採点基準の不利を浅田選手がどうやって克服するかがカギとなっているのだ。


☆2007年 GPファイナル進出選手
【女子】
浅田真央(中京大中京高) 30点
キム・ヨナ(韓国) 30点
キミー・マイズナー(米国) 28点
カロリーナ・コストナー(イタリア) 28点
中野友加里(早大) 26点
キャロライン・ザン(米国) 24点
【男子】
高橋大輔(関大) 30点
ジョニー・ウィアー(米国) 30点
パトリック・チャン(カナダ) 26点
エバン・ライザチェク(米国) 26点
ステファン・ランビエール(スイス) 24点
ケビン・バン・デル・ペレン(ベルギー) 22点
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