しかし、松井選手が守る外野にはライバルが多いこと、慕っていたジョー・トーリ監督が今季限りで退任したこと、年俸が高額であることなどから、来季の行方が不透明になってきていた。松井選手は全球団に対するトレード拒否権を持っているため、米各紙でささやかれていたトレードの可能性はないものの、守備力の面でレギュラーとなれるかどうかが焦点となっているのだ。
こうした中で、ヤンキースの首脳陣が来季の松井選手は左翼手ではなく、指名打者(DH)としての起用することを発表したのだ。来季のヤンキース外野陣は、右翼がボビー・アブレイユ外野手、中堅にメルキー・カブレラ外野手が確定しており、左翼は松井選手とジョニー・デーモン外野手が争うとされていた。
そのデーモン選手は、フリーエージェント(FA)となったアレックス・ロドリゲス内野手の穴を埋めるため、シカゴ・ホワイトソックスのジョー・クリーディ内野手とトレードされる可能性が報じられていた。もしデーモン選手がトレードとなれば松井選手のレギュラーは確実だったのだけど、ブライアン・キャッシュマンGMとジョー・ジラルディ新監督がデーモン選手と会談した結果、キャッシュマンGMはトレードを否定。それどころか、「デーモンの攻撃力はウチにとって不可欠。毎日、左翼を守り、先頭打者として活躍する姿を見たい。08年開幕戦? 今、考えるとしたらデーモンがレフトだと思う」(日刊スポーツより)と、デーモン選手をレギュラーの左翼手として起用することを明言したのだ。
さらに、松井選手に関しては「マツイはDHか左翼。でも守備力を考えると、左翼はジョニーが多くなる」(スポーツ報知より)としている。ヤンキースのDHにはジェイソン・ジアンビ内野手がいるだけに、キャッシュマンGMの言葉どおりになるとしたら、来季の松井選手はベンチを温める機会が増えてしまうことになるのだ。
松井、デーモン、ジアンビの各選手の今季成績を見てみると、
松井 打率.285、25本塁打、103打点、出塁率.367、長打率.488
デーモン 打率.270、12本塁打、63打点、出塁率.351、長打率.396
ジアンビ 打率.236、14本塁打、39打点、出塁率.356、長打率.433
と、松井選手が突出していることが分かる。それでもデーモン選手を左翼に起用するのは、キャッシュマンGMが言うように、とにもかくにも守備の面なのだ。弱肩を補うほどの広い守備範囲を持つデーモン選手から左翼の位置を奪うのは、松井選手にとってかなり厳しいことなのかも。
ジアンビ選手は故障で長期離脱のあと調子が上がらなかったためにこの成績なのだけど、その不調が続けば松井選手の出番が増えるかもしれない。ロドリゲス選手が去る可能性があるヤンキースにとって、松井選手が3塁を守れれば最高なのだけど……。