しかし、この腕章着用に対して「不良警官」たちは何とも思わず、ほとんど効果が得られなかったようなのだ。こうしたことから、担当者は「もっと目立って恥ずかしいものを」と、「ハローキティ」が描かれたピンクの腕章を数日間着用させることを発案した。これは80〜90年代に米ニューヨークで導入された「割れ窓理論(Broken Windows Theory)」(軽い犯罪でも徹底的に取り締まることによって凶悪犯罪も抑制できるという理論)を応用したもので、日本でも東京都がこの理論を導入している。
この「ハローキティ作戦」では、腕章を付けた人が何を違反したかは明らかにしないものの、タイ警察では男性職員が多いため羞恥心から風紀の乱れが抑えられることが期待されていたのだ。
ところが、この腕章に描かれていた「ハローキティ」をサンリオに無許可で使用していたことが発覚。タイ警察には海外から取材が殺到し、朝日新聞や読売新聞をはじめ日本でも多くのメディアが取り上げたのだ。メディアによっては“「ハローキティ」風”と報じているのだけど、朝日新聞などに掲載されている写真を見ると、キティちゃんの下にしっかりと「Hello Kitty」と刺繍されているのが分かるのだ。
こうしたことから、タイ警察はこの腕章を着用させないことを発表。タイの漫画キャラクターに変更することにしたのだ。タイ警察は「軽い冗談のつもりだった」(newsclip.beより)とコメントしている。取り締まる組織である警察の風紀が乱れ、さらにその内部風紀を正すはずの幹部が商業目的ではないとはいえ著作権侵害が疑われるという複雑な事態になってしまったのだけど、キャラクターが変わってもぜひこのかわいいアイディアを実行してもらいたいのだ。
ちなみに、「ハローキティ」腕章を着用させられた警官は1人もいなかったとのこと。