キャリアが高額の販売奨励金を支払っても多くの利益を確保できているのは、その分を通信料などで回収するビジネスモデルを確立しているから。4万円分を回収できる期間を過ぎてもユーザーが契約を続けてくれれば、残りはすべてキャリアの利益となるなりね。つまり、「ひとつの端末を長く使い続けるユーザー」と「1年ごとに機種変更するユーザー」、どちらが得かと言えば、定期的にキャリアに販売奨励金を支払わせている後者のほう。見方を変えれば、「ひとつの端末を長く使い続けるユーザー」が「1年ごとに機種変更するユーザー」を支えていると言ってしまっても、決して間違いではないなりよ。
こうした販売奨励金制度は携帯電話の普及に一役買ってきたのは事実なりが、NTTドコモとauは制度の見直しを検討しているというなり。日本経済新聞によると、両キャリアとも端末価格を5万円程度まで値上げする(=販売奨励金を抑える)代わりに、毎月の通信料を安くする新しい料金体系の導入を検討しており、現行との2種類から料金体系を選べるようにするようなりよ。
KDDIの小野寺正社長は、14日の定例記者会見で「販売奨励金が規制されれば、端末の価格が上昇して先端的な端末の導入が遅れ、その結果、部材・モジュール分野の国際競争力を削ぐ可能性がある」(ITproより)と語り、販売奨励金の完全撤廃には懐疑的な姿勢を示しているなり。ただ、ユーザーの不公平感を解消するためにも、前述のような新しい料金体系の導入は進める考えなりね。
新規・機種変更時に支払う金額が安いほうが良いのか、通信料が安いほうが良いのか。新しい料金体系は、ユーザーにとって悩ましい選択肢になりそうなり。