でも、この中央競馬のグレード制。実は国際的なグレード制とは一線を画す、日本が独自に規定した制度なりね。システムを模倣しただけで、海外のそれと互換性があるわけではないなりよ。そのため、日本の競馬の最高峰である「G1」を勝った競走馬でも、引退後に種牡馬や繁殖牝馬になった際に海外から評価されにくいという弊害が存在していたなりね。
ただ、近年の日本の競馬は「国際化」をキーワードに、海外遠征する競走馬を支援したり、日本のレースを海外の競走馬にも開放したりと、積極的に改革を推進。その甲斐あって「国際セリ名簿基準委員会」が定める世界的な競馬の格付けで、ようやく今年から「パート1」(最も上のカテゴリ)に入ることができたなりが、このことが日本のグレード制に、新たな問題を引き起こすことになってしまったなりよ。
それはグレード制の世界基準との矛盾。国際セリ名簿基準委員会は日本が「パート1」国になった以上、グレード制も世界基準に合わせるべきだと勧告しており、条件に適合しないレース(海外の馬に開放していない、など)には「G1」「G2」「G3」の名前を使ってはならないと「圧力」をかけているなりね。でも、それを受け入れると、3歳馬のクラシックレース(皐月賞、ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス)などはもう「G1」と呼ぶことができなくなるため、JRAとしても受け入れ難いところなりよ。
この勧告に従えば、7冠馬(皐月賞、日本ダービー、菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念)と言われた、かのディープインパクトも2冠(宝塚記念、ジャパンカップ)止まり。過去の記録をさかのぼって修正することはないにしても、もしJRAが勧告を受け入れて呼称を変えた場合、「○冠馬」の意味が若干変わってくる可能性は否めないなりね。
果たして日本の競馬はどうなってしまうのか。JRAの舵取りから目が離せないなり。
☆国際セリ名簿基準委員会の分類
○パート1(16か国)
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、ペルー、南アフリカ、アラブ首長国連邦、アメリカ合衆国、日本
○パート2(9か国)
香港、インド、マカオ、パナマ、プエルトリコ、スカンジナビア、シンガポール/マレーシア、ウルグアイ、ベネズエラ
○パート3(16か国)
オーストリア、コロンビア、チェコ、ドミニカ、エクアドル、ジャマイカ、韓国、モーリシャス、メキシコ、オランダ、ポーランド、サウジアラビア、スロバキア、スイス、トリニダードトバゴ、トルコ