こうした少子化に歯止めをかけようとしているのは国だけでなく、地方自治体レベルでも積極的に行われているのだ。調べてみると、岩手、秋田、埼玉、長野、岐阜、兵庫、島根、山口、福岡、大分など多くの県が結婚支援事業に取り組んでおり、出会いイベントなどで積極的に男女の出会いの場を提供しているのだ。
合計特殊出生率が東京都に次いで2位となった奈良県もその1つ。昨年4月に「なら出会いセンター」を開設し、同7月から出会いイベントを開始したのだけど、地元のホテルやレストランで開くイベントはあまり振るわず、初年度に誕生したカップルは県の期待を大幅に下回るたった6組。この状態では、費用がかかるばかりでそれに見合った効果が得られないのだ。
そこで県が起死回生とばかりに考案したのが、平城宮跡でボランティア清掃をプラスしたイベント。古都ならではのこの企画、9月に男女20人ずつの参加者を募集したところ、定員の5倍を超える210人から応募があったそうなのだ。応募者の男女の比率や年齢層が気になるところだけど、産経新聞の記事には掲載されていない。いずれにせよ、出会いを求めている人の多さを物語っているのだ。
そして、奈良県が放つ古都出会いイベント第2弾の舞台が、南都七大寺の1つである薬師寺。1300年以上の歴史を持つ世界文化遺産で“合コン”できるとは、歴史好きのぼくとしてはうらやましい限りなのだ。これに対抗できるのは京都府くらいかも。
内容は寺院らしく、「結婚」をテーマにした法話や写経を体験したあと、境内の別棟で自己紹介カードを提示して会話をしながら意中の相手を探す「トークタイム」や昼食、散策を経て、こちらも南都七大寺の1つである西大寺で、同寺の年中行事として有名な「大茶盛」(長さ35センチの茶筅で点てたお茶を、直径約30センチ、重さ約6キロの大茶碗で両脇の人に支えられながら飲む)を体験。最後にイベントを通して気に入った相手に投票する「カップリング」を行うそうなのだ。ちなみに、法話中と写経中は私語厳禁なのだとか。
煩悩を否定する寺、しかも日本が誇る由緒正しい2寺で煩悩渦巻くイベントを行うなんて、よく寺側が了承したなあと思うのだけど、そういった場所だけあって、出会った男女は何か運命的なものを感じるのかもしれない。なら出会いセンターは「法話や写経などのまじめな場と、1対1トークなど和やかな場の落差を楽しみながら、いい相手を見つけてほしい」(産経新聞より)と語っているのだ。
開催は11月8日で、今月16日から同センターの公式サイトで募集する。定員は男女各20人で、応募者多数の場合は抽選になるのだそう。奈良に住んでいる従妹たちに教えてあげようかな。