グリーン・デイのフロントマン、ビリー・ジョー・アームストロングは、最優秀ロック・ビデオ賞の受賞の際に「MTVに今でもロックの居場所があるというのは素晴らしいことだ」とコメント。今でこそ音楽業界の主流にロックが戻ってきたものの、ここ数年、ヒップ・ホップやR&Bに圧され続けてきたロックの立場の苦しさを象徴したコメントなのだ。たしかに、華やかなダンス・ミュージックに比べ、ロックのプロモーション・ビデオは地味な感じが否めないのだ。そして、最優秀ビデオ賞を受賞した後は「俺達は16年間バンドをやってきた。これこそ夢に見てきたことだよ」と述べている。MTVが80年代からつくり上げてきたVMAの受賞=音楽の商業的成功の象徴という図式。ショービジネスの世界に生きる者にとって、同賞の受賞は最高の栄誉だろう。特に、今回の「アメリカン・イディオット」でマーケット的に「勝ち」にいったといわれるグリーン・デイにとっては、この上なく嬉しいことに違いないのだ。
それにしても、セカンド・シングル「バスケット・ケース」が流行ってた頃には、「なんだよ、こんなポップなのメロコアじゃねーよ」なんて、ぼくにとっては歯牙にもかけない存在だったグリーン・デイが、こんな素晴らしいバンドになるとは思わなかったのだ。賞の受賞だけがよいバンドの基準ではないけれど、同アルバムのメドレー「ジーザス・オブ・サバービア」には、掛け値なしに感動してしまったのだ。
そのグリーン・デイによる「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」のド派手なライブで幕を開けたMTV VMA 2005は、総司会にディ・ディ、各賞のプレゼンターにリンジー・ローハンやオーランド・ブルームなど豪華な面々が登場したりコールドプレイなどのライブがあったりと、時代をつくってきた賞であることがひしひしと感じられたのだ。
最優秀女性アーティスト・ビデオ賞を受賞したオーディション・リアリティー番組「アメリカン・アイドル」出身のケリー・クラークソンが、トロフィーのムーンマン像を手に興奮しまくった可愛いコメントが印象的だったほか、2部門を受賞したブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンのサイドプロジェクトであるカートゥーン・バンドのゴリラズは、アニメキャラクターが画面で受賞のコメントをしたのだ。また、ライブでは1980年代に一世を風靡したMCハマーが登場。「ユー・キャント・タッチ・ディス」の披露に来場の観客だけでなく候補者たちまで大喜びだったのだ。授賞式のもようは9月11日にMTVでオンエア予定だけれど、米国のMTV公式サイト で視聴できるので、気になる人はどーぞ。ウェブの小さい画面でも十分興奮が伝わってくるのだ。
各賞の受賞者は以下の通り。
●最優秀ビデオ賞(VIDEO OF THE YEAR)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」
●最優秀男性アーティスト・ビデオ賞(BEST MALE VIDEO)
カニエ・ウェスト 「ジーザス・ウォークス」
●最優秀女性アーティスト・ビデオ賞(BEST FEMALE VIDEO)
ケリー・クラークソン 「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」
●最優秀グループ・ビデオ賞(BEST GROUP VIDEO)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」
●最優秀ラップ・ビデオ(BEST RAP VIDEO)
リュダクリス 「ナンバー・ワン・スポット」
●最優秀R&Bビデオ賞(BEST R&B VIDEO)
アリシア・キーズ 「カルマ」
●最優秀ヒップホップ・ビデオ賞(BEST HIP HOP VIDEO)
ミッシー・エリオット featuring シアラ&ファットマン・スクープ 「ルーズ・コントロール」
●最優秀ダンス・ビデオ賞(BEST DANCE VIDEO)
ミッシー・エリオット featuring シアラ&ファットマン・スクープ 「ルーズ・コントロール」
●最優秀ロック・ビデオ賞(BEST ROCK VIDEO)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」
●最優秀ポップ・ビデオ賞(BEST POP VIDEO)
ケリー・クラークソン 「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」
●最優秀新人アーティスト・ビデオ賞(BEST NEW ARTIST IN A VIDEO)
ザ・キラーズ 「ミスター・ブライトサイド」
●MTV2賞(MTV2 AWARD)
フォール・アウト・ボーイ「シュガー、ウィーアー・ゴーイング・ダウン」
●視聴者賞(VIEWER'S CHOICE)
グリーン・デイ「アメリカン・イディオット」
●ブレイクスルー・ビデオ賞(BREAKTHROUGH VIDEO)
ゴリラズ「フィール・グッド・インク」
●最優秀ビデオディレクション賞(BEST DIRECTION IN A VIDEO)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」
●最優秀振付け賞(BEST CHOREOGRAPHY IN A VIDEO)
グウェン・ステファニー 「Hollaback Girl」
●最優秀特殊効果賞(BEST SPECIAL EFFECTS IN A VIDEO)
ゴリラズ「フィール・グッド・インク」
●最優秀アートディレクション賞(BEST ART DIRECTION IN A VIDEO)
グウェン・ステファニー「ホワット・ユー・ウェイティング・フォー?」
●最優秀ビデオ編集賞(BEST EDITING IN A VIDEO)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」
●最優秀ビデオ撮影賞(BEST CINEMATOGRAPHY)
グリーン・デイ 「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス
●最優秀ビデオゲーム・サントラ賞(BEST VIDEO GAME SOUNDTRACK)
コナミ「ダンス・ダンス・レヴォリューション・エクストリーム」