恐らく大林監督の作品は「転校生」から入ったのだと思うなりが、その後、原田知世が好きで観た「天国にいちばん近い島」や石田ひかり主演の切ない物語「ふたり」などを観て徐々に大林ワールドに引きずり込まれることに。そして、決定的に「あ、好きかも」と思ったのは、ベンチャーズに憧れた高校生ロックバンドを描いた「青春デンデケデケデケ」だったなり。この作品、まだ若かりし頃の浅野忠信が出演していることでも一部では有名な作品なりが、何かひとつのモノを仲間と共に作り上げ、青春を謳歌する高校生の姿が見事に描かれていて、何だかとても懐かしい気持ちにさせてくれるなりね。映画評論家の故・淀川長治さんをして「思えば昔の松竹の清水宏監督がよく撮っていた少年映画を思い出し、フェリーニの『青春群像』までをも思い出した。要するに本当に映画好きなんだな。大林監督バンザイ!」とまで言わしめた作品。機会があれば、ぜひ観てみて欲しい作品なり。
さて、大林監督。今年66歳となった大御所は映画制作に対する考え方が古いのかと思いきや、意外と新しいモノをどん欲に吸収するタイプのようなりよ。そういえば「水の旅人 侍KIDS」でも、日本映画としてはいち早くCGを取り入れたりしていたような。そんな大林監督が最近の映像のデジタル化について語っているインタビュー記事が、夕刊フジBLOGに出ていたのでご紹介しておくとするなり。
「ムビオラ(=古式のフィルム編集機)は19世紀、マックは21世紀の発明品ですが、どちらも僕は好きですね」
「両方の良さを生かして映像を作ることに、映画本来の“豊かさ”がある。そして、それこそが『温故知新』ということだと僕は思います」
「ビデオ映像にはどこか冷めたところがありますが、デジタル映像には映画と通じる“熱っぽさ”が感じられる」
「これまでプロは、機材の優位性で勝っていましたが、デジタル映像機器を使えばプロもアマもそれほど差は出ない。そこで必要となるのは各人の知恵です」
「(映像コンテストの審査員などを通して)ムビオラとマックという両方の時代を知る者として、若い人たちが知らない、あるいは気づいていないことをアドバイスできるのではないかと考えています」
大林監督の意外な一面が見られるインタビュー記事。大林監督の作品から伝わってくる印象とはちょっと違うかもしれないなりね。ファンの人はぜひぜひ。