ジェンキンスさんは在韓米軍に配属されていた1965年1月に部隊を離れ、北朝鮮に渡ったとされている。このことで(1)他の兵士への脱走教唆(2)脱走(3)敵への支援(4)忠誠放棄の奨励―という4つの罪に問われており、米国防総省は「極めて深刻な罪」としているのだ。
米国は法に厳しい国。北朝鮮の公民であることを盾に、また、日本への帰化などの案もマスコミの間で囁かれていたけど、米国防総省は「国籍」に左右されないと明言 しており、譲歩は望めないと思っていたのだ。そこへ渡りに船の「人道問題」。米政府が特例を認めるのに十分な材料なのだ。それゆえに、「病状が思わしくない」「インドネシアの施設では治療できない」ということが捏造なのでは、という邪推をしてしまう自分がいたりする。
難問を先送りにした感は拭えないけど、とにかく、曽我さんの望みである「家族が日本で一緒に暮らす」ことに一歩近づいたのだ。ジェンキンスさんも日本が好き なようだし、曽我さんの気持ちになると、そのまま日本で一家そろって暮らせたらいいなあ、と思ってしまうのだ。まあ、特例を認めるのはどうかとも思うけど。また、ジェンキンスさんの意向や思想など、米政府が訴追しないにしても問題は山積しているのだ。
ともあれ、米政府は建前と温情のどちらを優先するか、今後の出方に注目なのだ。でも、「一緒に暮らせるなら日本でなくてもいいのでは。(愛があればどこでもいいじゃないか。)北朝鮮ではだめなのか?」 なんてこと言う無神経な大統領がいるからねえ……。