オールスターゲームの始まる前には各球団の選手が集まり、選手会による合併阻止に向けての話し合いが行われ、ようやく選手の間からも「合併反対」が声高に叫ばれ始めてきたところなりが、近鉄とオリックスの合併が表面化してから1か月の間、表立って反対していた選手はほんの一握りだけ。もっと現場の選手が率先して「合併反対」を叫ばなければならないはずなのに、なかなかそういう流れにならないことにもどかしさを感じていたファンも多かったかもしれないなりね。
そういえば7月10日の日経流通新聞に掲載されていた「武智幸徳のスポーツ考現学」というコラムに、こんなことが書かれていたなり。
「しみじみ思うのは選手の存在感の薄さである」
「はたと気づくのは、一家言ありそうな選手の多くは海の外という事実である」
「巨人のユニホームから『TOKYO』の文字が消えたことに異議を唱えた松井秀喜」
「社会人野球の衰退を憂えて自らクラブチームのオーナーになった野茂英雄」
「巨人におもねる風潮にオリックス時代から疑問を投げかけていたイチロー」
確かに、巨人の工藤公康投手や清原和博内野手といった選手は合併問題に対して早い段階から言及しているなりが、こと発言の影響力という意味では松井、野茂、イチローの3人には及ばないかもしれない……なんてことを思いながら、フンフンとこの記事を読んでいたなりよ。ちょうどそう思っていたところに、ヤンキースの松井秀喜外野手からのコメントが、スポーツニッポンの「松井秀 揺れるプロ野球界を憂慮」という記事に掲載されていたなり。
「アメリカは経営者、選手、ファンが三位一体になって物事を進めている。日本のように経営者の理論だけで物事が進んでいくようではファンはついてこないと思う」
「このままだと、来年ファンは球場に足を運ばないでしょう」
「何とかファンや選手が納得する形で進んでいってほしい」
なんでもメジャーの方法論が正しい、というわけでは無いなりが、ファンを大切にする、という意味ではメジャーのほうが何倍も優れているのは否めないところ。松井選手もメジャーに渡ってその素晴らしさに触れ、日本のプロ野球界の置かれている現状を心から憂えているのかもしれないなりね。
今の、ファンを置き去りにして進む合併問題の流れは、長年野球ファンを続けてきた一人として、とても悲しく思うなり。ファンや選手あってのプロ野球。どうかこのまま衰退の流れになりませんように……。