記事によると、ぼくが見たドトールコーヒーだけでなく、スターバックスが防衛庁内、タリーズコーヒーが東京大学医学部附属病院内にそれぞれオープンしたとのこと。高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでも公募しているそうな。そういえば、数年前からサービスエリアで「CASA」などのファミレスチェーンを見かけるようになったのだ。
官公庁に出店するメリットとしては、客数が限定されても安定した収益が見込める(つまり、限定されるとはいえパイが多い)、テイクアウト率が高いため客の回転がよい、店舗家賃が無料―が挙げられ、官公庁側から提示される採点基準をクリアしてでも出店したいという企業が殺到しているそうなのだ。
しかしこの一般企業参入、問題がないわけではないようで、「以前出店していた個人商店は、ほとんどが追い出されたも同然に立ち退きを迫られたんです。時計屋のおっちゃんなんて『他に店舗があるわけじゃないし、これからどうしよう』なんて言ってましたよ。まあ、今まで独占してきたんだから仕方ないんですけどね」(前出の職員)と、“聖域”が開放されたことによって、力のない個人商店の“被害者”も出ているようなのだ。また、「コンビニができる前は売店があったんですが、そこは全商品が2割引だった。あそこの土地は職員組合が管理してるんです。だから、家賃をタダにする代わりに割引きしてもらってたんですよ。それで、コンビニにも2割引にするよう要請したんですが、『ビルから一歩外に出ると、同じチェーンなのに売価が違うなんてオカシイ!』なんて意見があって、結局定価販売になっちゃったんです」(同)なんて話もあるそう。これがホントなら、出店してる企業は丸得なのだ。
そうはいっても、勤務者の数に比べて庁舎の外の飲食店が極端に少ない霞ヶ関。割引きされないとしても、決しておいしいとは言えない社員食堂に飽き飽きしていた公務員にとって、一般外食企業やコンビニの参入は正に渡りに船なのだ。でも、家賃がタダっていうのは特定の企業を優遇しているような気がするのだけれど…。