MPAAは「(喫煙シーンは)映画をリアルに描く際に不可欠」「表現の自由を侵害する」「上映する際に警告するなどの対処法もある」(すべてジャック・バレンティMPAA会長)としている。そんな…。「この映画は喫煙シーンが含まれています」なんて貼り紙見たら、映画を見る前にゲンナリしちゃうのだ。
対する商業委の主張はもっとゲンナリする。「暴力や性的描写は規制されているのに、喫煙シーンがされないのはおかしい」。おいおい。そんなこと言ったらバレンティ会長が「アルコールの乱用や、無茶な運転、動物虐待などのシーンについても規制が同様に求められる可能性がある」と指摘している通り、いろんなモノに対して規制がかけられてしまうのだ。「○○ちゃんが主役なのに、どうしてウチの娘は草の役なの!」とか「○○くんがレギュラーなのに、どうしてウチの息子は控えなの!」と先生や監督に抗議するお母さんと変わらないではないではないか(ちょっと飛躍しすぎたのだ(笑))。
それでも、映画の喫煙シーンが未成年者の喫煙にもたらす影響は少なくなく(喫煙シーンを多く見ている未成年者がタバコを吸い始める割合は、余り見ていない若者と比べて3倍近く多いとする研究結果もあるそうです)、今後MPAAも無策に要求を拒絶するだけでは、世論に圧されそうなのだ。
だけど、子供が映画の喫煙シーンを見て憧れるのも、思春期の大事な過程のひとつだと思う。そういう思い出がつくれない子供のほうが、かえってかわいそうだとは思いませんか? 少年時代にタバコを吸うムービースターや父に“大人”を感じ、憧れて成長してきたぼくは、どうしてもこの件には反対したくなってしまうのだ。