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「ニモ」続編の“奇蹟みたいなシーン”とは
12/02 13:44 ナリナリ編集部


この夏、興行収入68億円突破のヒットを記録し、10月9日(米現地時間)には世界興行収入が10億ドルの大台を突破したディズニー/ピクサー最新作「ファインディング・ドリー」。11月22日にはMovieNEXが発売され、12月5日付けのオリコン週間Blu-ray Discランキングでは、見事に総合1位(※発売初週6.9万枚売上)を獲得している。そんな本作のクリエイターズインタビュー第3弾として、本作のプロデューサーを務めたリンジー・コリンズのコメントが到着。製作の裏側やMovieNEXで観る際のポイントを語ってくれた。


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Q:世界興行収入が10億ドルを突破しましたが、いかがですか?

A:最初はとても奇妙な感じでした。この作品の製作には4年という長い期間がかかり、その間はとにかく興行収入ついて考えないようにしていました。そうしないと気持ち的に追い込まれて、間違った判断をしてしまうと思ったからです。作品が完成し、世界中での公開が決まった時点で経費や興行収入について考えはじめましたが、その時はなにも見えなくなっているというか、客観的に見ることができない状態に陥っていました。だから興行的に大成功した事実も、なんか妙な感じがしますね。

「そんなことを言ったって、ファンが待ちこがれていた大ヒット作の続編だから、大ヒットを予想していたんでしょ?」と言われるたびに、「全くその通りです」と答えてきましたが、期待が大きい程、失望されたときの恐怖も大きいものです。だから高い興行収入を目指すことよりも、ファンに失望されない作品を作ることに心を砕いてきました。本作には世界中の観客を惹きつけて夢中にさせる何かがあるんですね。これは前作『ファインディング・ニモ』の時にも言えたことですが、このおかげで成功できたと感じています。


Q:キャラクター製作について教えてください。

A:とても大変でした(苦笑)。どの作品でも言えることですが、最も時間がかかるのがキャタクター製作です。この作品ではタコのハンクが完成したら一気に作業が進むと早い段階で思っていました。ただ、初期段階から“タコのキャラクター”の難しさは明らかでしたね。形を変えていろんな場所に入り込み、またはい出してくる……、ハンクを作り上げるのは容易ではありませんでした。生き物を含め、ドリーを巡る世界を可能な限りリアルに表現することを目指していた我々にとって、いい加減なものでごまかすことは許されません。アニメーションのキャラクターであるのに、できる限りのリアルさを追求する作業は、「とにかく出来ると信じてやってみよう」という挑戦でした。製作を始めてまもなく「ハンクの完成度が映画の完成度を決める!」と言ったことを覚えています。実際、ハンクというキャラクターが出来上がってくるにつれて、作品のなかでの役割も最初より膨らんでいき、「ここにハンクを登場させよう!」「ハンクなら出来る!」というように、アニメーターたちも積極的に意見を出してくれました。

新しく登場したメスのジンベイザメのデスティニーは、身体はドリーよりも遥かに大きいけれど、ドリーの妹的存在を作りたいという、アンドリュー・スタントン監督の希望で生まれました。小さなナンヨウハギのドリーが巨大なクジラのような仲間とざっくばらんに会話をするという設定を監督が気に入っていて、ジンベエザメに決まる前から、巨大なメスのキャラクターが登場することは決まっていたんですよ。


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Q:MovieNEXで観る際のおすすめのシーンやポイントを教えてください。

A:ハンクによってドリーがオープン・オーシャンの水槽に入れられ、子供の頃の家に戻ってきたと感じるシーンですね。水底に並べられた貝殻を見つけて、それをたどって水槽の中にある子供時代を過ごした実家にたどり着き、それまで断片的にフラッシュバックとして見てきた様々な思い出が一気につながるシーンです。このシーンでは忘れんぼうのドリーが「この記憶はある、見たのを覚えているから!」ときちんと認識していきます。そしてそれがまたドリーの新しい記憶になっていきます。フラッシュバックで見てきた様々な記憶の断片が一つにつながって実際に広がっているという詩的な場面にしたいというのが、アンドリュー・スタントン監督の狙いでした。このシーンを絵コンテからアニメーションにするのは本当に大変な作業で、完成まで時間がかかりましたね。

MovieNEXで観るのであれば、フラッシュバックのシーンの順番どおりに、ドリーの子供時代の家への道とその周囲の様子を作り上げた、アンドリュー・スタントン監督の狙いに気づいていただけると思います。母親、父親、家族、そして家に戻り、これらを全部思い出し、それが思い出になってしまった運命の日の夜の出来事もドリーは最後に思い出します。実に巧妙に作りあげられたシーンなのですが、観る人はドリーの経験に夢中になり、感動をして、それに気づかないように……という注意が払われているのです。「奇蹟みたいなシーン」だと、私は思っています。


Q:今年でピクサー・スタジオは設立30周年ですが、どう思いますか?

A:私は今年で入社20年目ですが、30周年と聞くと、ピクサー・スタジオはまだ若い会社で、設立が昨日のように感じます。私が母親だからこう感じるのかもしれないけれど、ピクサー作品以外のアニメーション映画を思い出せない人が多いんです。ピクサーという名前は、今では良質のアニメーション映画だと証明する「印」になっているんですね。子供から青春時代という人生の節目に誰もが必ず観るもの、それがディズニー映画だと思うのですが、ここで最初にストーリー・テリングを体験し、記憶していきます。その一部になることが出来ているのは大変光栄です。作品がみなさんの生活・人生の一部になっているという事実は、ジョン・ラセターをはじめとするピクサーのフィルム・メイカーたちへの大いなる賛辞だと思います。

私のお気に入りの作品は、『トイ・ストーリー2』です。この作品を挙げる人はいないでしょ? でも大好きなんです!ピクサー社のスタッフが一つになって、「ピクサーはここまで出来る!」ということを世界に見せつけた作品です。ピクサーが初めて挑戦した続編で、ある意味、前作よりプレッシャーも大きく、製作も予想を超えた大変なものでしたが、完成した作品を映画館で観た瞬間に、「こうした努力はすべて生きている、無駄な努力は全くなかった」と感じましたね。

「ファインディング・ドリー」はMovieNEX(4,000円/税別)発売中、デジタル配信中。




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