のんびり過ごせて体験もできるテーマパーク、千葉県立房総のむら その2

2006/04/23(Sun) 23:07

 休日のテーマパークはどこに行っても大混雑。帰ってくるころには心も財布もへとへと、なんていう経験をしている方がたくさんいると思います。家族でのんびりできて、面白くて、安上がり。そんな都合のいい行楽地があるんです。その実態を探るべく、Narinari.com取材班は千葉県印旛郡にある「千葉県立房総のむら」に行ってきました。

 前回は甲冑が着られる武家屋敷までたどり着きました。次はどんなが景色や体験が待っているのか……。続きをどうぞ。

のどかな農家と桜・菜の花の競演

 甲冑を誇らしげにまとった外国人の男の子たち家族と別れて、武家屋敷の次は下総の農家へ向かいます。それにしても、敷地内を移動するとあちらこちらで農作業をしている職員の人たちをちらほら見かけます。房総のむらで生活をしているのではないかと思うくらい風景に溶け込んでいるので、「ここに住んでるんですか」と尋ねたら笑って否定されました。畑では、花はもちろん、ネギやニンジン、イモ、柿、桃などたくさんの野菜や果物が育てられています。これらの野菜や果物はすべて体験で使われるのです。職員は年間を通して農家の人たちと同じサイクルで作業をし、タイミング良くその作業を行っているときに来ると体験できる、というわけです。


農作業をする職員さんたち。風景に溶け込んでます


農具をしまう職員さん。“衣装”もバッチリ

畑を耕す職員さん。田舎ではよく見る光景です


畑にはたくさんの野菜が植わっています

 農家の近くに行くと菜の花畑が広がってきました。桜と菜の花の“競演”は見事の一言に尽きます。春ならではの風景ですが、都会に住んでいるとなかなか味わえないことですね。ここには「上総の農家」「下総の農家」「安房の農家」と3軒の農家がそれぞれ離れたところにあります。最初に到着した上総の農家は房総のむらで最大の農家。江戸時代、庄屋や名主と呼ばれていた豪農の家をイメージしたもので、わら葺きながら建物はしっかりしていて敷地面積は武家屋敷の数倍はあります。その広い庭では、竹馬、けん玉、コマ、ベーゴマなどで遊ぶことができ、炉端がある家の中にも入ることができます。土間の広さも武家屋敷の倍以上。ここまでのクラスの農民となると、お武家さんより良い生活をしていたんですね。こちらも武家屋敷同様、細部にこだわって造られています。


桜と菜の花の競演。春の一時期しか見られません


上総の農家の門。質素ながら立派です

広い庭。たくさんの「昔遊び」ができます

土間も広い。武士よりも豪農のほうがよいですね

便所も再現。でも使用できないのでご注意を

 今の子供は竹馬ができるのかなと思っていると、初めこそぎこちなかったのですが、すぐに乗りこなしていました。さすが飲み込みが早い。逆に、私たちのほうがよろよろして数歩しか歩けない始末。子供たちにニヤニヤと笑われてしまいました。農家の脇では、職員さんがむしろ織りの実演。この職員さんは、遊び道具の使い方がわからない子供に遊び方を教えたり、質問に答えたり、案内したりと、大忙しでした。


最初はぎこちなかったのに、すぐに乗れるようになっていました。子供は飲み込みが早いです


お父さんが子供にコマの回し方を教えてました。コマが回せるお父さんはヒーローに

むしろ織りの実演。この職員さんは大忙しでした

 上総の農家からちょっと裏に行くと、炭焼き小屋がありました。この日は実演だけでしたが、11月になると体験できるそうです。炭をつくるには決められた日に2回来なくてはならないのが難点だけど、自分で作った炭は持ち帰ることができます。それを七輪なんかで使ったら感動的でしょうね。


森の中の炭焼き小屋。異世界に来たようです


炭焼き小屋で作った炭。晩秋には体験できます

水車小屋と田んぼでほんわか気分

 上総の農家を後にし、和太鼓がたたける「農村歌舞伎舞台」を通って林の道を歩いていると、ワラで編んだヘビや人型が出現しました。静かで人気が少ないところなのでちょっとびっくりしましたが、どうやら豊作や安全を祈ったもののようです。その奥には水車小屋と水田が見えてきました。6月になると田植え、秋には刈り入れの体験ができるのですが、このときは小休止。手つかず田んぼが広がっていました。林がある丘に囲まれた田んぼは、鳥の声と相まってとてものどか。ほんわかした気分になりました。ここでもそこかしこにスイセンが咲いています。足下を見ると、アリがせっせと巣穴を掘っていました。


小さな子がお兄ちゃんと太鼓を叩いてました。ここで練習してお祭りデビュー?

突然登場したワラのヘビ。ちょっと怖いですね

水車小屋。ゴトンゴトンとのんびりした音を奏でていました

水車小屋奥に広がる水田。このときはしばしの休息でした

 次に到着したのが、下総の農家。下総というだけあって、門の外には船が置いてありました。ここの目玉は機織り体験。この日は体験も実演も行われていませんでしたが、女の子なら体験したいですよね。上総の家同様、庭で竹馬などができます。農家の門を出てちょっと行くと、お墓がありました。江戸時代から明治時代のお墓のレプリカなのですが、このように、道のなか唐突にお墓があるのは、現代の都会では考えられませんね。畑とお墓、生と死を身近に感じるのも、現代の人たちがなくした感覚なのではないでしょうか。


下総の農家。門の脇には船があります


下総の農家にある機織り機。この日は体験も実演もありませんでした。残念

ここで作られた木綿を干していました。体験や実演で使います


江戸〜明治に使われていたお墓のレプリカ

 最後の見所が安房の農家に到着しました。海が近い安房のため、家の軒先には魔除けとしてカニの甲羅が飾られていました。ここではワラジやアシナカなどのワラの履き物づくりが体験できるのですが、こちらもこの日はお休み。目玉体験がないため閑散としていましたが、庭にはコマのほかに棒でこすって羽を回す竹とんぼのようなおもちゃがあり、夏ミカンやビワ、ユズリハなどの他にはない木も植わっていました。


安房の農家の遠景。のどかな風景です


蟹殻掛けという魔除け。タカアシガニの甲羅を使っています


体験できるワラジづくり。いろんな種類があります

竹とんぼのようなおもちゃ。うまく回すにはコツがあります

ビワの木。実がなるのは秋です

夏みかんの木には実がなっていました


ユズリハ。初めて見ました

 このように、歴史や自然、都会じゃ味わえない体験もできて、のんびりと過ごせる千葉県立房総のむら。Narinari.comはおすすめしちゃいます。今回紹介した以外にも、そば猪口作り、七宝焼き、うちわ作り、紙漉き、和製本、木綿糸作り、しぼり染め、下駄作り、刃物作り入門、茶道入門、製陶(蹴ろくろ)、七味唐辛子作り、茶摘み、じゃがいも掘り、らっきょう作りなどがあるので、ぜひともこちらでチェックしてからお出かけください。なお、とても貴重な体験である「べっ甲細工」体験者を現在募集中だそうで、日時は5月20、21日の10〜15時、製作するのはイヤリングと三味線バチの根付け。興味のある方は、下記の電話番号にお問い合わせを。


体験者を募集しているべっ甲細工の見本。貴重品です

(おわり)

☆千葉県立房総のむら
所在地: 〒270-1506 千葉県印旛郡栄町龍角寺1028
電話: 0476-95-3333
FAX: 0476-95-3330
開館時間: 午前9時〜午後4時30分
休館日: 月曜日(休日の場合は開館し、翌日休館)、祝日の翌日、年末年始、臨時休館日
入館料: 個人 一般300円、高・大学生150円、中学生以下・65歳以上は無料
      団体(20人以上) 一般240円、高・大学生120円
      年間パスポート 一般1500円、高・大学生750円
駐車場: 普通車357台、大型バス16台 すべて無料
交通; JR成田線安食駅から千葉交通バス竜角寺台車庫行き約8分、「房総のむら」下車
     JR成田線安食駅からドラムバス(栄町内周遊バス)約15分、「ドラムの里」下車
     JR成田線成田駅から千葉交通バス竜角寺台車庫行き約20分「竜角寺台2丁目」下車   
     JR成田線下総松崎駅から徒歩約30分
     東関東自動車道成田インターチェンジから成田市街へ直進約10q




 

Copyright (C) Narinari.com. All rights reserved.