ぶらり宮崎、グルメ旅 Part1

2005/02/01(Tue) 22:27

プロローグ

 「こんにちは、お久しぶりですー」
 ある日、コ○助、てきれつ、コジマがバイトで一緒だった、放送局に勤めるYさんから電話がありました。久しぶりの電話だったのでお互いの近況やら何やらを話していくうちに、いつしか話題はYさんの地元・宮崎へ。
 「宮崎のことって何かご存知ですか?」
 宮崎? う〜む。宮崎といえば、プロ野球のキャンプ、シーガイア、巨人ファンの巣窟……もごもご。宮崎に対する無知さを露呈してしまいました。
 「ひどいですよー。Narinari.comは名古屋特集やったじゃないですか。宮崎にだっておいしいものがいっぱいあるんですよ! 自然も豊かだし、気分転換にでもぜひ遊びに来てください」
 Yさんの案内を取り付けて、私たちは一路、宮崎を目指しました。

宮崎郷土料理の登竜門「ふるさと料理 杉の子」

 宮崎に到着した私たちは、空港でレンタカーを借りて仕事帰りのYさんを拾い、早速、Yさんおすすめの「ふるさと料理 杉の子」へと向かいました。Yさん曰く「ここは宮崎郷土料理の登竜門なんです。県外から来たお客さんは、たいていココを最初に案内されます」とのこと。その「杉の子」で出た宮崎郷土料理の数々を紹介していきます。


宮崎料理の登竜門

杉の子さん

 ふるさと料理 杉の子は、宮崎の人なら誰でも知っている有名店だそうで、昨年6月に宮崎県立美術館で「Y字路展」を開いていた横尾忠則さんも食べにいらっしゃったそうです。総席数150席の広い店内はよく宴会などにも利用され、私たちが訪れたときも何組かが宴会で盛り上がっていました。老舗旅館の食堂風で非常にポップな感じは一切なく、とても落ち着きます。
 ここで気取ってコース料理を注文しても仕方ないので、定食や単品で宮崎の味を堪能することにしました。地ビールをおともにして。


地ビールの登場

グビグビ

●宮崎牛石焼
 最初の料理は、石の皿にジュージューと音を立てながら白髪ネギをふんだんにのせた「宮崎牛石焼」であります。一見、「○民」や「甘○郎」で出てくる料理と変わりないようですが……。
 みなさんは宮崎牛をご存知でしょうか。何? 知らない? では、三大銘柄の一つ、松阪牛は知ってますよね? 情報筋(というかYさん)によると、松阪牛の一部は、元宮崎牛なのだそうです。え? よく分からない? 宮崎県内で生産・飼育されている黒毛和牛を宮崎牛というのですが、松阪牛の定義は「黒毛和牛で松阪市を中心とした地域で肥育した優秀種」となっています。「肥育」とは仔牛を買い付けて育てることだそうで、この買い付け先に宮崎も含まれているということなのです。ここはすごく微妙な問題なのですが、海外で生まれた牛は国内で3か月以上飼育されれば「国産牛」、さらに国内で最も飼育期間が長かったところを産地に表示できるのです。ちなみに、豚は2か月以上、鶏は1か月以上で「国産」になります。たとえば、3歳になる仔牛を米国から輸入し、91日以上日本国内で飼育し、その内訳が、他の地方で30日ずつ、松坂地方で31日飼育すれば、「国産」と記載できるうえに、最も国内で飼育期間が長かった飼育地が松坂地方なので、「松坂牛」と記載することができるわけです。
 そんな事情があるにせよ、「松阪牛になれたかもしれない」一流の牛肉は、やはり絶品。居酒屋は言わずもがな、ちょっとした焼肉屋の肉ともとろけ具合が違います。そして、味付けは日本人好みのショーユ主体。焼肉屋で食べる味とはまったく違う、上品な味わいでした(焼肉屋さんの味付けも好きですが)。叙○苑なんかのバカ高い肉と比べても遜色ありません。お値段はぐっと低めです。

●日向地鶏炭火焼
 地鶏といえば、比内地鶏、名古屋コーチン、薩摩味鶏などが超有名ですが、宮崎特産の日向地鶏だって負けていません。日向地鶏は、地鶏のなかでもかための部類に入るのではないでしょうか。その歯ごたえと、かみしめるほどに染み出てくる味わいがなんとも言えません。そのうえ炭火が香ばしさを演出。うむうむ。満足のいく味でした。「東京でも食べられるじゃん」なんて声が聞こえてきそうですが、あくまで本場で食べるから美味しいのです。雰囲気は大切な要素です。

●冷や汁
 続いて出てきたのが、宮崎の代表的な家庭料理「冷や汁」。魚の干物のほぐし身と大葉、キュウリ、ミョウガ、ちぎり豆腐などを、味噌とすりゴマをダシ汁で割ったものにぶち込み、冷やご飯にぶっかけて“食う”といった代物で、食欲のない夏や二日酔いのときなんかにピッタリの栄養満点食です。もともとは、朝の残りご飯に冷めた味噌汁をかけてかき込む農漁村の昼飯からきているものだとか。Yさん曰く「日曜の午後にむくりと起きて、おなかが減ったけどお母さんがいない。すると食卓に『冷蔵庫に冷や汁入ってます』という置手紙。冷蔵庫からラップをかけた冷や汁とご飯を取り出して、テレビを見ながらボーっと食べるもの」だそうです。まあ、ようは「冷えた猫まんま」です。それをきちんとした店で仰々しく食べる私たちって一体…。ちなみに、土産屋なんかで売っている「冷や汁セット」みたいなものとはぜんぜん違います。めちゃくちゃ美味いっス。


冷や汁セット

ぶっかけていただきます

●謎のかつおカレー
 ここまで食べて、Yさんに何か食べておいたほうがいいものがあるかと尋ねると、「う〜ん、この店、なぜか『かつおカレー』が有名なんですよ。ま、私は食べたことがないんですけど」。なんでカツオなのだろう。気になって仲居さんに訊くと、「おほほほ。何ででしょうねー。それがまたサッパリ分からないんですよ。おほほほほ」との答えでした。後になって知ったのですが、宮崎はカツオの漁獲量が全国1位なのだそうです。でもなんでカレーなの? という疑問を飲み込み、かつおカレーをいただきました。カツオのダシが利いてなかなかのうまみでしたが、全体的には満腹なのが災いしてか、「かたいシーチキンが入ったカレー」という感想しか抱けませんでした。ごめんなさい。でもカツオが名物ならタタキが食べたかった……。


これが名物「カツオカレー」

固いシーチキン?

 最後のカレーだけが蛇足でしたが(何度も言いますが、満腹じゃなかったら美味しいと思います。たぶん)、全体的に非常に美味で満足・満腹、「宮崎郷土料理の登竜門」の異名にふさわしい店でした。ご主人や女将さん、仲居さんもとても感じの良い方々でしたよ。

 一軒目から名物のオンパレードで、Yさんに「この店だけですでに宮崎を食べ尽くしたんじゃないですか」と言うと、「ほんっとに宮崎のこと何も知らないっちゃね〜。まだ焼酎も飲んでないのに!」と叱られてしまいました。そして私たちは、ネオンのなかへと連れ去られていったのです。

(つづく)

〈杉の子で食べたメニューリスト〉
地鶏炭火焼き定食(冷や汁付き) 1580円
宮崎牛定食(冷や汁付き) 3200円
杉の子特製かつおカレー 800円

〈今回行ったお店リスト〉
「ふるさと料理 杉の子」
宮崎市橘通西2丁目1-4
TEL 0985-22-5798
営業時間 昼11:00〜(予約のみ) 夜16:00〜23:00
休 不定休
URL http://www.miyazaki-catv.ne.jp/~suginoko/




 

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