今さら人に聞けないオンラインDVDレンタル

2004/09/12(Sun) 13:15

オンラインDVDレンタルとは

 2002年、4つの事業者がほぼ同時に国内でのサービスを開始したオンラインDVDレンタル。その名のとおり、実際の店舗を持たないレンタルDVDサービスのことなのですが、「オンラインDVDレンタル」という言葉を聞いたことがあっても、実際に利用したことがある人は意外と少ないかもしれません。

 国内でのサービス開始からわずか2年程度しか経っていませんが、当初サービスを提供していた「ウェブデリDVD」(ウェブ・デリバリー・システム)、「DVD ZOO」(バリュークリックジャパン)、「DISCAS」(レントラックジャパン)、「ぽすれん」(オン・ザ・エッヂ)の4社も再編が進み、現在「大手」として残っているのは「DISCAS」と「ぽすれん」、そして2003年6月に新たに参入した大手レンタルビデオチェーンのゲオが展開する「GEOLAND」の3つという状況です。「経営的には苦しそうなニオイがする=会員数が思ったほど伸びていない」というのが現状なのかもしれません。

事業者名 在庫数 料金
ぽすれん 16,435タイトル(2004.9.5現在) 年会費1,050円/月額1,029円〜
DISCAS 13,984タイトル(2004.8.6現在) 年会費円/月額1,344円〜
GEOLAND 約12,000タイトル 年会費1,050円/月額2,079円〜

オンラインDVDレンタルの取っつきにくさ

 オンラインDVDレンタルサービスがそんな状況の2004年夏、Narinari.comの読者の方からこんなメールをいただきました。

 「はじめまして。僕はオンラインDVDというやつに興味があるのですが、月額料金の高さもあって、なかなか手を出せないでいます。レンタルできるタイトル数もそれほど無さそうですし、観たい映画が観たいときに観られないというのも、少し煩わしく思ってしまいます。Narinari.comの皆さんは、オンラインDVDを使ったことはありますか? もし使ったことがあれば、使用感など教えていただければ嬉しいです」 (Pepperさん 福島県 男性)

 残念ながら、Narinari.comのメンバーの面々の中にはオンラインDVDレンタルサービスを利用している人は一人もいませんでした。なぜ、利用したことがないのか。この点について少し話し合ってみたところ、以下のようなポイントが出てきました。

 1.オンラインで借りる必然性を感じない(近所にレンタルビデオがある)。
 2.月額固定料金だと、レンタルしない月がもったいない。
 3.TSUTAYAなどのレンタルビデオチェーンに比べて本数が少なそう。
 4.郵便ポストに投函したりするのが手間っぽい。
 5.レンタルビデオはフッと時間ができた時に、フラッと借りに行くことが多いので、オンラインではそんな「気分」に対応できない。

 1番はほぼ全員が東京在住(一人はアメリカ)ということもあると思うのですが、近所にレンタルビデオ店がないような地域に住んでいる場合には事情が違ってくると思います。実際、メールをいただいたPepperさんも、近所にレンタルビデオ店がないことからオンラインDVDレンタルに興味を抱いたそうです。

 3番と5番については、Pepperさんも指摘していたとおり。2番は、恐らく多忙な人が多いゆえの回答でしょう。どの事業者も採用している「月額固定、借り放題」というのは良い面も有りますが、固定支出を嫌がる人は確かに多いです。4番の感じ方は人それぞれでしょう。

 サービスを利用する前段階で、利用しないポイントがこれだけ挙がってしまうあたりが、オンラインDVDレンタルの取っつきにくさと言えそうです。でも、サービスの使用感自体はどうなのでしょう。うだうだ言っていても何も始まらないので、とりあえず試しに「ぽすれん」に加入してみることにしました。

「ぽすれん」どうなのよ

 ライブドア(オン・ザ・エッヂが社名変更)が展開する「ぽすれん」は、2004年に「DVDZOO」を統合し、現在のところオンラインDVDレンタルサービス事業者の中では最大手と言われています。サービスとしての使い勝手はいかほどのものなのでしょうか。

 会員登録はオンラインから簡単にすることができます。決済は、クレジットカード、コンビニ払い、郵便振替が選択できますが、クレジットカード以外は数か月分のまとめ払い(途中解約の際の返金なし)ということなので、今回はクレジットカード払いを選択。

 では、さっそく観たい作品のタイトルを検索窓に突っ込み、検索結果の一覧を表示させます。

 ここに出てくる「マイリスト登録」というボタン。これはブラウザのブックマークのようなもので、気に入った(そのうちレンタルしようと思う)DVDを見つけたら、適当に「マイリスト登録」しておきます。すると、次のような一覧となって表示され、貸出中なのか、レンタル可能なのかが一目で分かるようになっているのです。これはちょっと便利かも。

 この「マイリスト」のレンタル可能なものから、レンタルしたい作品にチェックを入れ、レンタル確定ボタンを押せば作業は完了。レンタルするまでの流れはかなり簡単です。レンタル確定ボタンを押すと「発送処理中」の状態となり、配送されると画面に次のように表示されます。

 ちなみに、発送&返却の処理が完了すると、ちゃんとメールが来ます。だいたい東京都内だと、発送完了のメールが来た翌日あたりには自宅に届くようです。ただし、郵便物の配達自体が行われない、日曜・祝日を挟む場合にはもう少し時間がかかります。

 今回レンタルをしてみた「いま何待ち? ディレクターズカット」というのは、フジテレビ系の深夜番組のDVDで、近所のTSUTAYAではレンタルしていないものをチョイスしてみました。平日に注文しておいたので、中1日で自宅にちゃんと届けられてきました。


こんな封筒で届きます

中身はこんな感じ

エロDVDではありません

 「ぽすれん」の名前とおり、自宅のポストに届けられるということだったのでそれほど大きいとは思っていませんでしたが、想像していたよりもずっとコンパクトにまとめられていました。封筒の中にはDVDが2枚ずつと、返却用の封筒だけが入っています。実にシンプルです。


返却用の封筒

90円切手が付いています

 返却用の封筒にはあらかじめ返送先の住所が印刷されており、切手が貼り付けられています。封筒の封を閉めるためのノリもシール状になっており、非常に簡単に返却作業を行うことができます。手間要らずです。

 「ぽすれん」には返却期限という概念が存在しません。基本的には、いつ返却してもOK。なので、とりあえずレンタルしておいて、暇になったら観る、というスタイルもアリ。ただし、その場合にはほかのユーザーが迷惑することになるため、このシステムはユーザーの良心に依存している部分が無きにしも有らずといった感じでしょうか。

 Web上の検索方法や「マイリスト」などの仕組みはよくできていると思います。タイトルを指名するかたちでレンタルしたい場合には、検索窓にタイトルを入れるだけなので、レンタルビデオに実際に出向くよりも断然早く、楽でしょう。ただ、やはり事前のイメージどおり、タイトル数はTSUTAYAなどに比べると、激しく見劣りします。話題作の類は大抵揃っているようにも見えますが、単館系の作品やテレビの作品などは、残念ながら満足のいくレベルとは言い難いようです。

 恐らく、ヘビーな映画&テレビ好きが、近所のレンタルビデオには置いていないような作品をレンタルするか、近所にレンタルビデオ自体が無い人にとっては良いサービスなのかもしれません。でも、それ以外の人にとっては、月額固定の料金を支払ってまで楽しめるサービス……とは、残念ながら現時点ではオススメできないと思います。

 とはいえ、これもタイトル数が充実してくれば、もっと使い勝手が良くなり、使ってみたいと思う人も多くなるのは間違いないでしょう。各事業者はまだサービス的に厳しい状況が続いているとは思いますが、せっかく芽生えたこのサービス。廃れさせることなく、大きく成長させて欲しいものです。


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☆オンラインDVDレンタルを理解するための関連サイト
ぽすれん …… ライブドアが運営
DISCAS …… レントラックジャパンが運営
GEOLAND …… ゲオが運営
オンラインDVDレンタル選択ガイド …… 3つのサービスの機能や料金の比較など


 

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