福島県が「美味しんぼ」に抗議、風評被害助長で「断固容認できず」。

2014/05/12 06:52 Written by Narinari.com編集部

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福島県は5月12日、公式サイトで「週刊ビッグコミックスピリッツ『美味しんぼ』に関する本県の対応について」と題する文書を公開した。

同県は「美味しんぼ」で語られている“特定の個人の見解”が、福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現を問題視。4月28日、5月12日発売号に掲載された「美味しんぼ」の表現について、「福島県民そして本県を応援いただいている国内外の方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるものであり、また、本県の農林水産業や観光業など各産業分野へ深刻な経済的損失を与えかねず、さらには国民及び世界に対しても本県への不安感を増長させるものであり、総じて本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾であります」と強い言葉で抗議している。

掲載された文書の内容は次の通り。

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週刊ビッグコミックスピリッツ4月28日発売号の「美味しんぼ」の内容につきまして、県内外の多くの皆様から、出版社に対して県として対応すべきであるとの多くのお声をいただいております。

「美味しんぼ」において、作中に登場する特定の個人の見解が、あたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現があり、県内外の多くの皆様に不安と困惑を生じさせており、県としても大変危惧しております。

県では、これまで全ての県民を対象とした「県民健康調査」「甲状腺検査」「ホールボディカウンター」等により、県民の皆様の健康面への不安に応える取組を実施してまいりました。
また、県産農林水産物については、「農地等の除染」「米の全量全袋検査などの徹底したモニタリング検査」等により安全性の確保と、正しい理解の向上に取り組み、市場関係者や消費者の理解が進むとともに、観光分野においても、観光客入込数が回復傾向にあるなど、ようやく本県への風評も和らぎつつある状況に至ったところです。

このような中、「週刊ビッグコミックスピリッツ」4月28日及び5月12日発売号の「美味しんぼ」の表現は、福島県民そして本県を応援いただいている国内外の方々の心情を全く顧みず、深く傷つけるものであり、また、本県の農林水産業や観光業など各産業分野へ深刻な経済的損失を与えかねず、さらには国民及び世界に対しても本県への不安感を増長させるものであり、総じて本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾であります。

「美味しんぼ」及び株式会社小学館が出版する出版物に関して、本県の見解を含めて、国、市町村、生産者団体、放射線医学を専門とする医療機関や大学等高等教育機関、国連を始めとする国際的な科学機関などから、科学的知見や多様な意見・見解を、丁寧かつ綿密に取材・調査された上で、偏らない客観的な事実を基にした表現とするよう強く申し入れております。

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5月12日発売号に掲載された「美味しんぼ」では、福島県双葉町の井戸川克隆前町長が語る形で「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢いるのは、被曝したから」と断言。また、福島大学の荒木田岳准教授が除染作業について「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんてできない」と語るシーンがあり、これを受けて主人公の山岡士郎が「除染できないのでは福島の復興は難しい」とコメントしている。

なお、井戸川前町長は5月10日付けで、Facebook公式ページに「『美味しんぼ』で話題となっておりますが、ここ最近の鼻血の様子を撮った写真を掲載いたします」と、鼻血写真5枚を掲載した。

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