中国人学生が日本に「加油!」、震災を自国と同じ目線で見つめる学生も。

2011/03/22 17:25 Written by Narinari.com編集部

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3月19日、中国・広東省広州市で「第9回広州地区日本語学科新入生歓迎会」が催された。在広州日本国総領事館主催のこの催しは、広州市内にある大学の日本語学科新入生を対象とした日本紹介事業。将来日本語人材となる新入生を激励・歓迎するとともに、日本文化などを紹介する趣旨で2002年から毎年開催されている。このたび、ナリナリドットコムの中国特派員は同イベントに参加、多くの中国人学生から被災地へのエールをもらった。

広州大学の4人は日本の地震に関して「とても驚きました」と話す。「毎日地震のニュースを見ている」そうで、原子力発電所の今後や作業を続けている勇敢な作業員50人に特に注目しているという。同時に「日本人の団結力の強さや忍耐力の強さにとても関心しました」「一刻も早い復旧・復興をお祈りしています」とのコメントをくれた。また、彼らは日本の建築に大変興味を抱いており、将来は日本に行く夢を抱いているという。

女性3人組(程さん・蔡さん・庄さん)は、「今回の地震は本当に悲しい」と大きなショックを受け、「自然災害の恐ろしさをまざまざと見せつけられた」という。こうした悲劇は「(今後)中国にも起こる」と、決して人ごとではないと感じているそうだ。

広東外語外貿大学の女性2人(黄さん・蘇さん)は「日本人の生活をとても心配しています」「なるべく安全な場所に避難して、これ以上被害が大きくならないことを祈っています」とコメント。今回の地震は衝撃的だったと語る2人だが、「(地震が多くても)日本にはいつか行きたい」そうで、「日本文化が大好き」だという。

私立大学の2人(陳さん・高さん)、陳さんは「地震は避けられないもの。四川省の地震のときと同じような気持ちです。地球上で生きている人はみんな同じです」と、自国の災害と同じ目線で今回の地震を見つめている。

男性2人組(王さん・袁さん)は香港から広州の大学に入学した学生。日本文化と日本建築に興味を持っているという。彼らは地震に対する日本の対応に尊敬の念を示し、「日本人の団結力は素晴らしいです」とも。「行方不明の方々の安否が一日でも早く確認できることをお祈りしています」「加油! 頑張って!」と大きな声でエールを送ってくれた。

男女2人組(梁さん・盧さん)は「(地震の映像は)まるで地獄絵を見せられているような気分でした。やはり人間は自然には勝てない」と率直な印象を語ってくれた。同時に「今回の地震は本当に突発的でたくさんの方々が亡くなられました。そのことで自分の命についても深く考えさせられました」とし、地震を通じて命のはかなさを強く感じたそうだ。  

日本語教師を務める林さんは、日本にかつて8年間ほど滞在した経験がある。日本に長期間滞在しただけに、今回の地震は人ごとには感じられなかったようで、「毎日インターネットでさまざまな情報を入手しています」とのこと。日本での恩人である先生たちにもすぐに連絡を取って安否を確認したそうだ。林さんは「今回の地震が日本経済に及ぼす影響は大きい」と見ているが、「(復旧・復興に)時間はかかるにしても、日本には“技術”があるから大丈夫」「僕には物質的な援助はできないけれど、精神的に日本人を応援します!」とコメントしてくれた。

ジョイフル日本語学校(語学学校)の女性2人(胡さん・梁さん)は、「津波が街を奪い去った映像は本当に悲惨でした」と話し、「“命”についてもう一度考え直した」そうで、「このように今、私たちが生きているのは幸せなこと。1回限りの命を大切にしたい」と感じたという。また、「日本は地震が多いけれども、行ってみたいですか?」とたずねると、「今回の地震があったからこそ行きたい! 何かできるなら少しでも役に立ちたい!」と話してくれた。最後に「平安就好!」「ともに頑張りましょう。幸せになってください。私たちは皆さんと共にあります」とも。

広州市内の日系企業で働く女性2人(範さん・李さん)は、日本が災害に対して冷静に対応していることを称賛。今回の地震のデマにより中国では塩が売り切れたことや、四川大地震のときの中国政府の対応を例に挙げて「日中の違いは大きい」と思い知らされたという。また、日系企業で働くだけに、「工場のラインがストップしたりしている。一日でも早く元の状態に戻って欲しいです」と日系企業を気遣う面も見せた。

華南理工大学の男女のグループは雲南省でも地震があったことに触れ「人間は必ず自然災害に勝てる!」と心強い言葉をかけてくれた。「人間は助け合うべきです。国境なんて関係ない」と、ささやかでも日本の助けになりたい旨も添えてくれた。また、今回の地震で日本の耐震技術の高さに驚いたそうで、中には「中国は日本の技術を勉強すべき」「語学よりも日本の技術を勉強したいです」と話す学生も。最後にはみんなで「今回の災難を乗り越えられると信じています。頑張れ日本!」とエールを送ってくれた。

これらは会場で聞いた一部のコメントだが、さすがに日本語を専攻している学生たちだけあって、地震への関心、そして日本に対する思いやりや愛情を深く感じることができた。もちろん、これらが中国人の総意とは言えないが、多くの問題が横たわる日中間で、これほど日本に対する思いやりの気持ちが全面に現れているのは、やはり未曾有の悲劇が生み出した影響と言わざるを得ない。

ある学生に日中の歴史問題についてもたずねてみたが「もちろん中には受け入れられない人もいると思います。ただ、今の中国と日本は経済や文化面で交流がとても発展しています。昔よりも今が大事なのです」と話し、地震と歴史問題を合わせて考えるような雰囲気は一切感じられなかった。

なお、イベントに参加した大学は中山大学、広東外語外貿大学、華南師範大学、華南理工大学、広東工業大学、広東商学院、広州大学、広東外語芸術職業学院など12校。約650人の大学1年生が集まった。

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