1年間で112億円失った男性、会社売却で得た資産をカジノに注ぎ込む。

2009/12/09 13:12 Written by Narinari.com編集部

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パチンコやスロット、競馬などのギャンブルにのめり込んでしまう、中毒状態の人たちがいる。ギャンブルを一切やらない人にすれば、1,000円、10,000円がアッと言う間に消えてしまうのは恐ろしく、もったいないと感じるものだが、ギャンブルにハマる人は「これくらいの負けなら簡単に取り返せる」と思いがちだ。そうした中で負けが続き、予定を超える金額をギャンブルに注ぎ込むという悪循環に陥り、生活の破綻を招く人も少なくない。

そうやって積み上げたギャンブルでの損失金額が数百万円に上るというケースはしばしば聞かれるが、米国には桁外れのスケールとも言える、1億2,700万ドル(約112億円)もの大金をカジノで失った男性がいる。

この男性は、以前、米ネブラスカ州でおもちゃの輸入販売会社を経営していた日系米国人のテランス・ワタナベ氏。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ワタナベ氏は20歳のとき、父が設立・経営していた会社の最高責任者に就任して事業を拡大、2000年には3億ドル(約265億円)の収益を上げる会社に成長させ、その後、ロサンゼルスの企業に売却したという。

現在52歳とまだ若いワタナベ氏は、一線を退いた後はチャリティーに熱心になったそうで、地元教会の有力な後援者として有名に。また、エイズ関連の団体に数百万ドルの寄付をしたり、民主党(現在のオバマ政権与党)に50万ドル(約4,400万円)の献金をしたりと、豊富な資産を社会貢献や政治のために使っていたそうだ。

ところが、それまでの人生を仕事に捧げていたワタナベ氏は、結婚相手には恵まれずに独身だったこともあってか、次第に時間を持て余すようになった。ワタナベ氏の妹は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し「彼は時間をどう使えば良いのか分からなかった」と、有り余る時間がカジノにのめり込む一因になったことを示唆している。

ワタナベ氏がギャンブルを始めたのは2003年から。カジノに入り浸り、酒とギャンブルに溺れたワタナベ氏は、当時通っていたカジノから要注意人物と見られ、締め出されたこともあった。そこに手を差し伸べたのが、ラスベガスのあるカジノだ。

大口顧客の激しい奪い合いが繰り広げられるラスベガスで、豊富な資産を持ち、湯水のようにお金を使うワタナベ氏は格好のターゲット。このカジノはワタナベ氏に航空運賃として1万2,500ドル(約110万円)/月、50万ドル損失時に15%のキャッシュバックなど、さまざまな優待条件を提示し、従業員が「7つ星」と呼ぶほどの特別な客として迎えた。

ホテルのスイートルームが提供され、3人の係員が付けられたほどの待遇を受けたワタナベ氏は、長いときは24時間カジノに入り浸り、1日で500万ドル(約4億4,000万円)負ける日もあったという。そして2007年には、その年だけで1億2,700万ドル(約112億円)も負けてしまった。この金額について米放送局ABCは「ラスベガス史上最大の負けの1つ」と伝えている。

ただ、そこまで膨れあがった負債もかなりの部分を返済し、残り1,400万ドル(約12億円)のところまで来たが、そこでワタナベ氏は支払いを拒否。その理由は「カジノが提供した酒と薬によって、何をしているのか理解できない状態だった」から(※州法やカジノのルールでは、泥酔状態でのギャンブルを禁止している)。ちなみに、薬というのは、当時背中を痛めていたワタナベ氏にカジノが用意した鎮痛剤のことらしい。

現在、ワタナベ氏とカジノ側は裁判中。仮にワタナベ氏がこの裁判に負け、残りの負債を支払わなかった場合には、4つの罪で懲役28年が科せられる可能性があるという。

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