「忌引き休暇」に日給の約10倍の罰金、中国の企業が直面する現実とは。

2009/04/21 18:48 Written by Narinari.com編集部

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4月上旬、中国の生命保険会社に勤める女性が忌引き休暇を申請したところ、会社から高額な罰金を請求されるという出来事があった。ネットでは会社の措置に「非人間的」「法律違反では」などと批判が殺到。この騒動の顛末を河北省の夕刊紙「燕趙晩報」が伝えている。

徐さん(女性)は、今年2月初めから泰康生命保険会社に勤めることになった。主な仕事は、保険商品の電話営業。月の給料は600元(約8600円)プラス業績給という契約だった。

トラブルが起きたのは4月6日月曜日のこと。前日の日曜日に、祖父の危篤の報せを受けて急遽帰郷することになった徐さんは、帰郷後、すでに祖父が亡くなってしまったことを知らされる。そのため、葬式を執り行う必要があり、会社の部門長に「1日休みます」と連絡。ところが翌日の月曜日、彼女は葬式後にも墓参りなどの様々な行事をしなければならないことを知らされ、さらにもう1日休みを延長してもらえるように再度連絡することに。部門長は、「すでに死んだ人のために休む必要はない」「今後のことも考え、私用休暇として200元ほどの罰金をかけます」と彼女に通告した。会社の対応に不満を抱いた彼女は、事件から一週間後の14日、家族の支持の下、退職手続きをすることになる。

部門長が現地メディアに語ったところでは「1日目は病欠扱いで罰金はかからない」とのこと。しかしながら「2日目以降は私用休暇として、1日につき月給の30%プラス30元(約430円)の罰金(彼女の場合は合計210元)がかかる」と話す。また、これは「会社の規定」であり、誰に対しても「平等に科せられるもの」とのことだ。

中国では、いまだに多くの企業がこのような「罰金制度」を設けている。例えば、遅刻には分単位で罰金が科せられ、会社の備品を破損すれば、実費を支払わされるのが通例。そうでもしなければ「従業員は管理できない」という中国企業の古くからの考えにもとづく処置であるが、他の労働者への見せしめとして機能している現実もある。つまり中国では、一人の例外を認めてしまうと、他の労働者も同じことを次から次へと要求し始め、結果として労働争議などに発展しかねない現実が潜んでいるからだ。今回の事件で、部門長が「今後のことも考え」と話したのは、こうした現実を懸念した上での意見であるのかもしれない。

とは言え、徐さんの給料は日給に換算すると20元(約290円)ほど。いくら会社の規定とは言え、休暇1日につき日給の10倍に当たる210元(約3000円)という罰金は高額過ぎるのも事実。現在、法律に詳しい関係者は「違法の可能性がある」として、徐さんに仲裁手続の申し立てをおこなうように提案している。

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