エンゼルスの若き先発投手、ニック・アデンハート投手が交通事故で亡くなった。アデンハート投手は4月8日に行われたアスレチックス戦で6回を被安打7、3四球、5奪三振で無失点に抑える好投を見せるなど、将来のエンゼルスを背負う活躍が期待されていた選手だけに、事故死の一報は球団をはじめ、関係者、ファンに衝撃を与えている。

エンゼルス公式サイトなどの情報によると、アデンハート投手が事故に巻き込まれたのは9日未明のこと。アデンハート投手を含む4人の乗ったシルバーの車が交差点に差し掛かったところ、赤信号を無視して交差点に進入してきた赤いミニバンと衝突、はじき飛ばされたシルバーの車は電柱に激突し、乗っていた4人のうち2人の男女は現場で亡くなった。アデンハート投手はカリフォルニア大学病院に運ばれ、緊急手術を受けたものの、息を引き取っている。

ミニバンのドライバーは事故直後に現場から徒歩で逃走。1マイル（1.6キロ）離れた場所で警察が発見し、ひき逃げの疑いで逮捕されたという。

この訃報を受け、エンゼルスは「球団は大きな損失を被った。我々はひどく悲しみ、ショックを受けている」との声明を発表。また、アデンハート投手の家族も「エンゼルスのすべての援助に感謝します。彼は夢を追い、温かい人々の集うエンゼルスの一員として受け入れられました。彼のファン全員に感謝するとともに、永遠に皆の心の中で生き続けていきます」とコメントしている。

アデンハート投手は1986年生まれ。高校を卒業後、2004年のドラフトでの上位指名が確実視されていたが、ドラフトの2週間前に深刻なひじの故障を発症してしまい、結局、14巡目の指名でエンゼルスに入団した。昨年からメジャーに昇格（2008年は3試合に登板、1勝0敗0セーブ、防御率9.00）。今季初登板となった8日のアストロズ戦で好投し、スポーツ記者などから高い評価を受けていた。