WBCが盛り上がる裏で、松井秀喜選手が置かれている寂しい状況。

2009/02/27 10:32 Written by Narinari.com編集部

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2月25日に京セラドーム大阪で行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)強化試合のオーストラリア第2戦も、第1戦に続き11-2で勝利した日本代表。先発した松坂大輔投手(レッドソックス)やイチロー外野手(マリナーズ)ら米大リーグで活躍している選手を中心に、今回の日本代表にも期待が集まっている。今後、西武や巨人との試合を経て、3月5日に始まる大会初戦の中国戦に向け、日本国内はますます盛り上がりを見せるはずだ。

その一方で、2月24日付米紙ニューヨーク・タイムズが、春キャンプに参加している松井秀喜外野手(ヤンキース)のインタビューを含めた特集記事を掲載した。2006年5月の試合中に手首を骨折して巨人時代からの連続試合出場記録が途絶えて以降、若手や新加入選手の台頭、自身の故障などにより、松井選手はチーム内で厳しい状況に置かれている。

トレード話もたびたび持ち上がるほどで、米メディアも松井選手の立場が危ういと見ているようだ。同紙の記事では、今年が契約最終年であることを踏まえ、松井選手へのインタビューからこれまでの実績、現在の日本での注目度などに言及している。

松井選手は同紙に対し「優勝していないことに不満はある」「ワールドシリーズを制覇することがヤンキースの一員としての使命だと思う」と移籍以来チームが“世界一”になっていないことに悔しさをにじませ、「日本に戻ることは全く考えていない」「できる限りここでプレーをしたい」と来季以降のヤンキース残留を明言した。

これに対してニューヨーク・タイムズ紙は、巨人がドラフト1位の大田泰示内野手に松井選手が着けていた背番号「55」を与えたことから、古巣復帰の可能性が薄くなったことを紹介。さらに、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが「松井がシーズン当初に外野を守ることはないだろう。外野手の人数の問題ではなく、彼の好調を維持させるためだ」と語ったことを挙げ、指名打者での起用が前提の厳しいシーズンになりそうだと伝えている。

また、サンケイスポーツ記者による「イチローはWBCのため国民的ヒーローになっている。イチローは毎日のように新聞の一面を飾るが、秀喜が一面を飾ることはもうない」とのコメントも紹介。このほか、ここ数年のケガや成績の落ち込み、周囲の厳しい意見など、並んでいるのはネガティブな言葉ばかりだ。

記事は「以前は毎日プレーすることができたが、いまは毎日プレーできるかできないかという状態。その状況を認識したうえで、やれることを最大限やるだけ」という松井選手らしい意気込みで締めくくられている。

昨季開幕前に結婚したものの、ケガの影響で残念ながら不本意な成績に終わってしまった松井選手。しかし、シーズン終了直後にヒザの手術に踏み切り、経過は順調だ。また、指名打者争いのライバルだったジェーソン・ジアンビ内野手が今冬に移籍し、先発出場に向けて明るい兆しも出てきた。厳しい言葉が並ぶ地元メディアの報道は、松井選手に対する期待の裏返しとも言えるだろう。

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