ゲームメーカーが製品のバグを見つけられずに出荷してしまい、ユーザーから不満の声が上がることがある。最近の日本のケースだと、PSP向けの「海腹川背 Portable」（マーベラスエンターテイメント）や、ニンテンドーDS向けの「ダービースタリオンDS」（エンターブレイン）などが物議を醸したのは記憶に新しいところだ。そんなゲームのバグをめぐる、ユーザーとメーカーのある「（和やかな）攻防」が、日米のネットで話題を呼んでいる。

この「攻防」は、昨年、米エレクトロニック・アーツがXbox360向けに発売した人気ゴルフゲーム「Tiger Woods PGA TOUR 08」のバグをめぐって起きたもの。このゲームの中で、タイガー・ウッズが水の上でショットを打ててしまうバグがあることが判明、「Levinator25」と名乗るユーザーがその様子を撮影し、「Tiger Woods PGA Tour 08 Jesus Shot」とのタイトルでYouTubeに動画を公開した。YouTubeのコメント欄は荒れているわけではなく（一部汚い書き込みもあるが）、「タイガー・ウッズは神だな」「彼の魔法の靴が欲しい」と、バグの映像を楽しんでいるユーザーも多い。

ただ、メーカーとしてはバグを「Jesus Shot」と皮肉られたことに釈然としないものがあったのだろう。そこで、エレクトロニック・アーツは意外な行動に出る。バグをバグと認めず、YouTubeのビデオレスポンス機能を利用し、「反論CM」を公開したのだ。しかも、タイガー・ウッズ本人が出演するという、大がかりなCMを……。

この「反論CM」は、YouTubeの「Tiger Woods PGA Tour 08 Jesus Shot」の動画を映すところから始まる。そしてYouTubeの投稿者名の欄を大写しにしたあと、次のようなメッセージを投稿者の「Levinator25」に投げかけた。

「Levinator25,You seem to think your Jesus Shot video was a glitch in the game.」（Levinator25さん、あなたはJesus Shotがゲームのバグだったと思っているようですね）

メッセージが流れた後、いよいよタイガー・ウッズが現れる。そして池に浮いた葉の上のボールを打つため、靴を脱いで水の上を歩き、カップに入れるという「リアルJesus Shot」を披露。まさにゲームと同じシーンを再現してしまった。

このユーモアあふれる「反論CM」には日米から称賛の声が続出。「エレクトロニック・アーツかっこいい」「こういうのができるのってスゴイ」「素晴らしいアメリカンジョークだ」「お金かけすぎ（笑）」と、YouTubeには1,700件を超えるコメントが投稿されているほか、日本でも2ちゃんねるやはてなブックマーク、ニコニコ動画などで賛辞が寄せられている。そして、こうした「反論CM」に快く出演するタイガー・ウッズの「いい人ぶり」や「懐の深さ」に感銘を受ける人が多いようだ。