史上初のホスト出身力士誕生へ、新弟子検査合格目指し増量中。

2008/04/09 18:44 Written by コジマ

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八百長疑惑報道、朝青龍騒動、時津風部屋の力士死亡問題と、昨年は揺れに揺れた大相撲。特に時津風部屋問題が角界に及ぼした影響は大きく、昨年7月の名古屋場所新弟子検査で史上初の受検者ゼロを記録したほか、同11月の九州場所で入門を予定していた新弟子のキャンセルが続出した。

しかし、今年の春場所は新弟子検査を受けた68人が全員合格するなど、回復の傾向にある。これについて、高砂部屋マネジャーの松田哲博氏(元一ノ矢)は「新弟子入門にも年によって波があり、入らないときは話があったとしてもことごとくダメになるが、入りだすとどんどん続いてくるということはある」(公式ブログより)との見解を示しているのだ。

そんな高砂部屋から、大相撲史上初のホスト出身力士が誕生することが話題になっている。その異色の新人は、大阪・天王寺出身の20歳、山下智徳さん。父はダッチワイフ評論家として知られる落語家の桂楽珍(桂文珍の弟子)と、こちらも異色で、日刊スポーツに掲載されている写真を見ると、父にそっくりなのだ。

高校中退後はさまざまな職業を経験し、アルバイト感覚ながら大阪・ミナミでホストもこなしたという。しかし、2月末に格闘技好きの父に連れられて高砂部屋を見学した際、激しい稽古に衝撃を受け、父の高校の先輩である松田氏を通じて3月10日に入門した。

高校時代はサッカーやブレイクダンスをしていたという山下さん、身長は182センチと申し分ないながら、体重はたった58キロ。力士としてだけでなく、一般の人としてもかなり細身の体格で、同部屋の朝陽丸(3月に引退)が小学3年生ときの体重なのだとか。身長は新弟子第一検査の基準である173センチ以上を十分に満たしているのだけど、体重は基準の75キロにはほど遠い。そのため、基準体重が67キロの第二検査合格を目指し、ここ1カ月は稽古と増量に明け暮れる日々を過ごしていた。

食事のノルマは毎食丼飯3杯。入門当時75キロから145キロになった部屋頭の横綱朝青龍に牛乳を飲むよう勧められ、3月31日の時点で64キロまで増量した。しかし、入門当初に比べて体重増加のペースが落ち、4月9日現在で65キロ近く。食後に体重計に乗って、増え方が足りないともう1杯食べるという苦しさを味わっているようなのだ。

稽古と増量というこれまでの人生にない苦難を経験しながらも、「夜に働いて朝に寝ていた自分が、朝早く起きてけいこする生活に変わっただけでも大きい」(日刊スポーツより)といまの生活に満足している様子の山下さん、長い髪をバッサリ切っただけでなく昔の仲間との連絡を絶つために携帯電話も実家に置いてきたという決意は強く、へこたれるどころか「早く兄弟子の誰かに勝てるようになりたいです」(同)と語っている。

「元ホスト」や「落語家の息子」という部分がクローズアップされがちだけど、この根性を生かして朝青龍のような強い横綱になってほしいもの。そういえば、身長も朝青龍とほぼ同じなのだ。まずは、5月1日の新弟子検査に合格することが期待される。

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